4話写経
花丸(小さい頃から、すみっこで遊ぶ目立たない子だった)
花丸(運動も苦手だったし、学芸会では木の役で)
花丸(だから、だんだん1人で遊ぶようになっていった)
花丸(本を読むのが、大好きになっていった)
花丸(図書室はいつしか、マルの居場所となり)
花丸(そこで読む本の中で、いつも空想を膨らませていた)
花丸(読み終わったとき、ちょっぴり寂しかったけど)
花丸(それでも、本があれば大丈夫だと思った)
花丸『……?』
ルビィ『♪……!?///』
花丸『……♪』
花丸(その子は、黒澤ルビィ)
花丸(マルの大切な友達)
OP
千歌「これでよし!」
梨子「それにしても、まさか本当に承認されるなんて!」
曜「部員足りないのにね」
千歌「理事長がいいって言うんだからいいんじゃないの?」
曜「いいって言うか――」
鞠莉『ショーーーニン!』
曜「――ノリノリだったけどね」
梨子「でも、どうして理事長は私たちの肩を持ってくれるのかしら?」
千歌「スクールアイドルが好きなんじゃない?」
梨子「それだけじゃないと思うけど……」
千歌「とにかく入ろうよ!」
ようちかりこ「「「うっ……」」」
千歌「う……」
曜「うわー……」
梨子「片付けて使えって言ってたけど……」
千歌「これぜんぶー!?はぁ……」
梨子「文句言っても誰もやってくれないわよ」
千歌「んもー……」
千歌「……?」
千歌「?なんか書いてある……」
梨子「歌詞、かな……」
曜「どうしてここに?」
千歌「わからない……」
千歌「それにしても……」
ルビィ「……!」
~
ルビィ「やっぱり、部室できてた!スクールアイドル部承認されたんだよ!」
花丸「よかったね~!」
ルビィ「うん!あぁ、またライブ見られるんだ……!……ピィ!?」
千歌「こんにちはー!」(梨子ちゃんだけ持ってる本の冊数が少ない)
千歌「あ、花丸ちゃん!……とぉ」
千歌「ルビィちゃん!」
ルビィ「ピギャァ!」
曜「よくわかったねー」
梨子「えぇ……」
千歌「へっへーん、ふふ」
ルビィ「……こ、こんにちは……」
千歌「かわいい……!!」
梨子「これ、部室にあったんだけど……図書室の本じゃないかな」
花丸「……あぁ、たぶんそうです。ありがとうございます」
千歌「スクールアイドル部へようこそ!!」
花丸「!?」
梨子「千歌ちゃん……」(曜ちゃん口を開けて驚く)
千歌「結成したし、部にもなったし、絶対悪いようにはしませんよ~?2人が歌ったら絶対キラキラする!間違いない!」
ルビィ「あ……え……でも……」
花丸「お、おら……」
千歌「?おら?」
花丸「あ……!い、いえ……マル、そういうの苦手っていうか……」
ルビィ「えぇっ……ル、ルビィも……」
花丸「……」眉をひそめる
曜「千歌ちゃん、強引に迫ったらかわいそうだよ?」
梨子「そうよ、まだ入学したばかりの1年生なんだし」
千歌「……そうだよね、あっはは、かわいいからつい……」
曜「千歌ちゃん、そろそろ練習」
千歌「あ、そっか。じゃあね」
ルビィ「……スクールアイドルか……」
花丸「やりたいんじゃないの?」
ルビィ「え?……でも……」
~
花丸「ダイヤさんが?」
ルビィ「うん、お姉ちゃん、昔はスクールアイドル好きだったんだけど」
ルビィ「一緒にμ'sの真似して、歌ったりしてた」
ルビィ「でも、高校に入ってしばらく経ったころ――」
ルビィ『~♪』
ダイヤ『……片付けて。それ、見たくない』
ルビィ『……!!』
花丸「そうなんだ……」
ルビィ「本当はね、ルビィも嫌いにならなきゃいけないんだけど……」
花丸「……どうして?」
ルビィ「お姉ちゃんが見たくないっていうもの、好きでいられないよ。それに……」
花丸「それに?」
ルビィ「…………花丸ちゃんは興味ないの?スクールアイドル」
花丸「マル!?ないない、運動苦手だし、おら、おらとか言っちゃうときあるし」
ルビィ「ふふ、じゃあルビィも平気」
花丸「…………」
~
「気持ちよかったね~!」
「魚綺麗だった~!」
果南「ありがとうございましたー!またよろしくお願いします!」
果南「……?」
鞠莉「やっぱりここは果南の方が安心できるな~!」
果南「……って、鞠莉!」
鞠莉「かなーん!シャイニー!!」
果南「……どうしたの、いきなり」
鞠莉「うふっ……スカウトに来たの」
果南「スカウト?」
鞠莉「休学が終わったら、スクールアイドル始めるのよ!浦の星で!」
果南「……本気?」
鞠莉「でなければ、戻ってこないよ」
果南「……!」
果南「――――!!」
鞠莉「……ふぅ」
鞠莉「相変わらず頑固親父だね……」
~
ルビィ「~♪」
ルビィ「……」
ルビィ『ルビィは花陽ちゃんかな~』
ダイヤ『わたくしは断然エリーチカ!生徒会長でスクールアイドル!クールですわぁ~』
ルビィ「……」
ルビィ「……」μ'sの特集を見つめる
ダイヤ「……」
~
花丸「μ's、かぁ……」
花丸「おらには無理ずら……」
花丸「……?」
花丸「……はぁ……」凛ちゃんの写真を見つめる
善子「ずら丸、降臨……なんでここに!」
花丸「?」
~
梨子「はぁ、無理よ、さすがに……」
千歌「でもー!はぁ、はぁ、μ'sも階段登って鍛えたって……」
曜「でも、はぁ、こんなに長いなんて……」
梨子「こんなの毎日登ってたら、はぁ、身体が保たないわ……」
果南「千歌?」
ようちかりこ「「「?」」」
千歌「果南ちゃん!」
曜「もしかして、上まで走っていったの?」
果南「一応ね、日課だから」
ようちか「「!?」」
梨子「日課!?」
果南「千歌たちこそ、どうしたの?急に」
千歌「鍛えなくっちゃって……ほら、スクールアイドルで!」
果南「あぁ~……そっか。ま、がんばりなよ。じゃあ、店開けなきゃいけないから」
梨子「息ひとつ切れてないなんて……」
曜「上には上がいるってことだね……」
千歌「はぁ~ぁ……私たちも!行くよおぉ~~……」
ようりこ「「あはは……」」
~
ルビィ「ええぇ!?スクールアイドルに!?」
花丸「うん」
ルビィ「どうして!?」
花丸「どうしてって、やってみたいからだけど……ダメ?」
ルビィ「全然!ただ、花丸ちゃん興味とかあんまり無さそうだったから……」
花丸「いや、ルビィちゃんと一緒に見ているうちに、いいなあって」
花丸「だから、ルビィちゃんも一緒にやらない?」
ルビィ「ルビィも!?」
花丸「やってみたいんでしょ?」
ルビィ「それは、そうだけど……人前とか苦手だし、お姉ちゃんが嫌がると思うし……」
花丸「……そっか。じゃあ、こうしない?」
花丸「――」
ルビィ「……体験、入部?」
Bパート
千歌「ほんとー!?」
花丸「はい」
ルビィ「よろしくお願いします!」
千歌「ぃやったぁ!……やったぁ……!!!」
千歌「――――やったぁーー!!!!」
千歌「これでラブライブ優勝だよ!レジェンドだよー!」
曜「千歌ちゃん待って、体験入部だよ?」
千歌「へ?」
梨子「要するに、仮入部っていうか、お試しってこと。それでいけそうだったら入るし、合わないっていうならやめるし」
千歌「そうなの?」
花丸「いや、まあ、いろいろあって……」
千歌「💡!」
曜「もしかして、生徒会長?」
花丸「……あ、はい、だからルビィちゃんとここに来たことは内密に……」
千歌「ぃよっ!できたー!」
曜「……千歌ちゃん、人の話は聞こうね?」
千歌「ほぇ?」
梨子「じゃあとりあえず、練習やってもらうのが一番ね」
千歌「」パチパチ
ルビィ「わぁー!!」
花丸「ほぉ……」
梨子「いろいろなスクールアイドルのブログを見て作ってみたの!」
曜「曲作りは?」
梨子「それは、別に時間を見つけてやるしかないわね」
ルビィ「本物のスクールアイドルの練習……!!」
花丸「……♪」
曜「でも、練習どこでやるの?」
千歌「あ……」
千歌「中庭もグランドもいっぱいだねー、部室もそこまで広くないし……」
曜「砂浜じゃダメなの?」
梨子「移動の時間考えると、練習場所はできたら学校内で確保したいわ」
ルビィ「屋上はダメですか!?」
千歌「屋上?」
ルビィ「μ'sはいつも、屋上で練習してたって!」
千歌「そうか!」
曜「屋上かー!」
千歌「行ってみよー!」
千歌「うわーー!!!!!すっごーい!!!!」
曜「富士山くっきり見えてる!」
花丸「でも陽射しは強いかも……」
千歌「それがいいんだよ!太陽の光をいーっぱい浴びて、海の空気を胸いっぱいに吸い込んで……」
千歌「……あったかい」床に手を置く
千歌「?」4人も手を置く
曜「……ほんとだ」
花丸「うぅ~ん……気持ちいいずら~……」
ルビィ「花丸ちゃん?」
ルビィ「……ふふ」ツンツン
千歌「さあ、始めようか」
千歌「じゃあ、行くよー?Aqoursー!」
「「「「「サンシャイン!!!!!」」」」」
曜「1,2,3,4、1,2,3,4……」
千歌「……♪」
ルビィ「……できた……!」
花丸「さすがルビィちゃん」
ルビィ「できました、千歌先輩!」
千歌「はー……あ、あれ?」
梨子「千歌ちゃんはやり直し」
ルビィ「えっへへ……」
千歌「えへへ……」
梨子「今日までって約束だったはずよ?」
千歌「思いつかなかったんだもん……」
(梨子「思いつかなかったじゃないでしょ?」
(千歌「まあまあ……」
(梨子「約束は約束」
花丸「何かあったんですか?」
曜「新しい曲、今作ってて」
千歌「花丸ちゃんも、何か思いついたら言ってね?」
花丸「はぁ……」
ルビィ「……!」ステップの練習
花丸「……♪」
~
ルビィ「これ、一気に登ってるんですか……!?」
千歌「もちろん!」
曜「いつも途中で休憩しちゃうんだけどねー」
千歌「えへへ……」
梨子「でも、ライブで何曲も踊るには頂上まで駆け上がるスタミナが必要だし」
千歌「じゃあ、μ's目指して!よーい……どーん!」
花丸「はぁ……はぁ……」
ルビィ「……!」
ルビィ「花丸ちゃん……」
花丸「はぁ……やっぱり、マルには……」
曜「どうしたの?」
ルビィ「……ちょっと息が切れちゃって、先行っててください」
曜「無理、しないでねー?」
花丸「ルビィちゃん……?」
ルビィ「一緒に行こ?」
花丸「ダメだよ……」
ルビィ「え?」
花丸「ルビィちゃんは、走らなきゃ、はぁ」
ルビィ「花丸ちゃん……?」
花丸「ルビィちゃんは、もっと自分の気持ち、大切にしなきゃ」
花丸「自分に嘘ついて、はぁ、無理に人に合わせても、つらいだけだよ」
ルビィ「……合わせてるわけじゃ……」
花丸「ルビィちゃんは、スクールアイドルになりたいんでしょ?」
ルビィ「……ぅん」
花丸「だったら、前に進まなきゃ」
ルビィ「……」
花丸「……さぁ、行って」
ルビィ「……で、でも……」
花丸「……さぁ」
ルビィ「……」
ルビィ「……!」
ルビィ「……うん!」
花丸(――マルと一緒に図書室で過ごしてくれたその子は、とても優しくて、とても思いやりがあって)
ルビィ「えへっ……!」
花丸(でも、気にしすぎな子)
花丸(素晴らしい夢も、キラキラした憧れも、全部、胸に閉じ込めてしまう子)
花丸(その胸の扉を思い切り開いてあげたいと、ずっと思っていた)
花丸(中に詰まっている、いっぱいの光を――)
ルビィ「はぁ、はぁ……」
千歌「あと少しー!」
梨子「がんばってー!」
曜「ルビィちゃーん!」
花丸(――世界の隅々まで照らせるような、その輝きを)
花丸(大空に、放ってあげたかった)
ルビィ「……あははっ……!」
花丸(それが、マルの夢だった)
ルビィ「――はぁ、はぁ、はぁ……!」
ルビィ「……やった……!やったぁ……!」
曜「すごいよルビィちゃん!」
千歌「見て!」
ルビィ「うわぁぁ……!」
千歌「やったよ!登りきったよー!!」
果南「……」見上げる
鞠莉「……」ティータイム
花丸「……」微笑む
ダイヤ「――なんですの?こんなところに呼び出して」
花丸「っ……」
花丸「あの、ルビィちゃんの話を……ルビィちゃんの気持ちを、聞いてあげてください」
ダイヤ「……ルビィの?」
花丸「……」走り去る
ダイヤ「ぁ……」
ダイヤ「……そんなの、わかってる……」
ルビィ「……お姉ちゃん!?」
ダイヤ「ルビィ?」
千歌「ダイヤさん、なんでここに……」
ダイヤ「……これはどういうことですの?」
ルビィ「あの、それは……その……」
千歌「違うんです、ルビィちゃんは――」
ルビィ「――千歌さん」
千歌「……」
ルビィ「……お姉ちゃん」
ダイヤ「……」
ルビィ「……」
ルビィ「……!」
ルビィ「ルビィ……ルビィね……!」
ダイヤ「……!」
~
ダイヤ「……」
鞠莉「よかったね。やっと希望が叶って(Her hope finally came true)」
ダイヤ「……なんの話ですの」
~
ルビィ「……よろしくお願いします!」
千歌「よろしくね!」
ルビィ「はい!がんばります!」
梨子「そういえば、国木田さんは?」
ルビィ「……」
~
花丸(これでマルの話はおしまい)
花丸(もう、夢は叶ったから)
花丸(マルは本の世界に戻るの)
花丸「大丈夫、ひとりでも(I'm fine by myself)」
『ラブライブ!5周年記念号』
花丸「……」
花丸「……」雑誌を手に取る
花丸「……ばいばい――」
ルビィ「――――ルビィね!」
花丸「!?ルビィちゃん!?」
ルビィ「ルビィね、花丸ちゃんのこと見てた!」
ルビィ「ルビィに気を遣って、スクールアイドルやってるんじゃないかって!ルビィのために、無理してるんじゃないかって、心配だったから!」
練習風景
ルビィ「でも、練習のときも、屋上にいたときも、みんなで話してるときも――!」
ルビィ「――花丸ちゃん、嬉しそうだった……!」
花丸「……!」
ルビィ「それ見て思った、花丸ちゃん好きなんだって!ルビィと同じくらい好きなんだって!スクールアイドルが!」
花丸「っ……マルが……?まさか……」
ルビィ「じゃあ、なんでその本そんなに読んでたの?」
花丸「……それは……」
ルビィ「ルビィね、花丸ちゃんと一緒にスクールアイドルできたらって、ずっと思ってた!一緒にがんばれたらって!」
花丸「……!……それでも、おらには無理ずら。体力ないし、向いてないよ」
ルビィ「……そこに映ってる凛ちゃんもね、自分はスクールアイドルに向いてないってずっと思ってたんだよ?」
花丸「……!」
梨子「――でも好きだった(She loved it)。やってみたいと思った(She wanted to try it)」
梨子「最初はそれでいいと思うけど?」
千歌「……」手を差し出す
花丸「……!」
ルビィ「ルビィ、スクールアイドルがやりたい!花丸ちゃんと!」
花丸「……!……マルに、できるかな……」
千歌「私だってそうだよ?」
花丸「!」
千歌「一番大切なのはできるかどうかじゃない。やりたいかどうかだよ!」
花丸「……!」
ルビィ「……」微笑む
ようりこ「「……」」微笑む
千歌「えへへ」
花丸「……!」
花丸「……」千歌の手を取る
全員で手を重ねる
~
千歌「じゃあ、行くよ?」
千歌「せーの!」
RANK 4999
梨子「4999位……」
ルビィ「上に5000組もスクールアイドルがいるってこと……?すごい数……」
花丸「……ふふっ。さぁ、ランニング行くずらー!」
「「「おー!!!」」」
ルビィ「……えへっ」
凛ちゃんの写真が映る
ED