3話写経

梨子「前回の!」

「「「ラブライブ!サンシャイン!!」」

梨子「千歌ちゃんは東京から来た転校生のスカウトを続ける」

梨子『ごめんなさーい!』

千歌『待っ――わぶっ』

千歌『聴こえた?』

梨子『うん……!』

梨子「そんなとき、3人で海の音を聴いたことをきっかけに曲作りをすることになった」

ようちか『『かし?』』

梨子「一緒に作業するうちに、スクールアイドルの魅力に気づく」

千歌『それって――とっても素敵なことだよ?』

梨子「そして、新たな事件が――」

 

 

「「「1,2,3,4……」」」

曜「はい、ストップ!」

曜「よっと」Playボタン

千歌「どう?」

梨子「だいぶ良くなってきている気がするけど……」

曜「でも、ここの蹴り上げがみんな弱いのと、ここの動きも」

千歌「わー、ほんとだー!」

梨子「さすがね、すぐ気づくなんて」

曜「高飛び込みやってたからフォームの確認は得意なんだ!……リズムは?」

梨子「だいたいいいけど、千歌ちゃんが少し遅れてるわ」

千歌「わたしかー!!」

千歌「……?」

ブロロロロ

梨子「なに、あれ?」

曜「小原家のヘリだね」

梨子「小原家?」

曜「淡島にあるホテル経営してて、新しい理事長もそこの人らしいよ」

千歌「へぇ~」

千歌「…………なんか、近付いてない?」

梨子「……気のせいよ」

曜「でも……」

「「「うわー!」」」

千歌「なになに!?」

鞠莉「チャオ~!」

 

OP

 

千歌「え?新理事長?」

鞠莉「Yes! でもあまり気にせず、気軽にマリーって呼んでほしいの!」

曜「でも……」

鞠莉「紅茶、飲みたい?」

千歌「あの、新理事長」

鞠莉「マリーだよ!」

千歌「m,マリー……その制服は……」

鞠莉「どこか変かなー?3年生のリボンはちゃんと用意したつもりだけど……」

千歌「理事長ですよね?」

鞠莉「しかぁーし!この学校の3年生、生徒兼理事長!カレーギュードンみたいなものね!」

梨子「例えがよくわからない……」

鞠莉「分からないの??」

ダイヤ「分からないに決まってます!」

曜「生徒会長?」

鞠莉「オー、ダイヤ久しぶりー!随分大きくなって!」

ダイヤ「触らないでいただけます?」

鞠莉「胸は相変わらずねぇ」

ダイヤ「っやかましい!……ですわ」

鞠莉「イッツジョーク!」

ダイヤ「まったく、1年のときにいなくなったと思ったらこんなときに戻ってくるなんて、いったいどういうつもりですの?」

鞠莉「シャイニー!」

ダイヤ「人の話を聞かない癖は相変わらずのようですわね」胸ぐらをつかむ

鞠莉「イッツジョーク」

ダイヤ「とにかく、高校3年生が理事長なんて冗談にもほどがありますわ」

鞠莉「そっちはジョークじゃないからね」

ダイヤ「は?」

鞠莉「私のHome、小原家の学校への寄付は相当な額なの」

千歌「うそ!?」

ダイヤ「そんな、なんで!?」

鞠莉「実は、この浦の星にスクールアイドルが誕生したという噂を聞いてね」

ダイヤ「まさか、それで?」

鞠莉「そう!ダイヤに邪魔されちゃかわいそうなので、応援しにきたのです」

千歌「ほんとですか!?」

鞠莉「Yes! このマリーが来たからには、心配いりません!デビューライブはアキバデュームを用意してみたわ!」

梨子「そんな!いきなり……」

千歌「き、きせきだよ!!」

鞠莉「イッツジョーク!」

千歌「ジョークのためにわざわざそんなもの用意しないでください」

鞠莉「実際には……」

 

曜「ここで?」

鞠莉「はい。ここを満員にできたら、人数にかかわらず部として承認してあげますよ」

千歌「ほんと!?」

鞠莉「部費も使えるしね」

梨子「でも、満員にできなければ?」

鞠莉「そのときは、解散してもらうほかありません」

千歌「えぇ!?そんなぁ……」

鞠莉「嫌なら断ってもらっても結構ですけど?どうします?」

梨子「どう、って……」

曜「結構広いよね、ここ。……やめる?」

千歌「やるしかないよ!他に手があるわけじゃないんだし」

曜「そうだね!」

鞠莉「Okay, 行うということでいいのね」立ち去る

梨子「……待って!」

ようちか「「?」」

梨子「この学校の生徒って、全部で何人?」

曜「えぇーっと……あっ!」

千歌「なになに?」

梨子「わからない?全校生徒、全員来ても――ここは、満員にならない」

千歌「……うそ」

曜「まさか、鞠莉さんそれわかってて……」

 

 

千歌「どうしよう……」

梨子「でも、鞠莉さんの言うこともわかる。そのくらいできなきゃ、この先もダメということでしょう?」

千歌「やっと曲ができたばかりだよ!ダンスもまだまだだし……」

曜「じゃ、諦める?」

千歌「っあきらめない!」

梨子「なんでそんな言い方するの?」

曜「こう言ってあげた方が、千歌ちゃん燃えるから」

「次は、伊豆三津シーパラダイス

千歌「……そうだ!」

曜「ね?」

 

 

千歌「おねがい!いるでしょ、従業員……」

美渡「そりゃいることはいるよ」

千歌「何人くらい?」

美渡「本社も入れると……200人くらい?」

千歌「200人……!」

千歌「あのね、私たち来月の初めにスクールアイドルとしてライブを行うことにしたのね」

美渡「フッ、スクールアイドル?あんたが?」

千歌「でね、お姉ちゃんにも来てほしいなって思って……!会社の人200人ほど誘って……」

美渡「……」

千歌「満員にしないと学校の公認がもらえないの!だからおねがい!」

 

 

千歌「……おかしい。完璧な作戦のはずだったのに……」

曜「お姉さんの気持ちも、わかるけどねー」

千歌「うぇ!?曜ちゃんお姉ちゃん派!?……あれ、梨子ちゃんは?」

曜「お手洗い行くって言ってたけど……」

梨子「……!……!!!」

千歌「あれ、何やってんの?」

梨子「はぁ……」

曜「それよりも、人を集める方法でしょ?」

梨子「!?」

千歌「そうだよね、何か考えないと……」

梨子「……!」

曜「町内放送で呼びかけたら?頼めばできると思うよ」

梨子「!……!」

千歌「あとは沼津かなあ。向こうには高校いっぱいあるから、スクールアイドルに興味ある高校生もいると思うし」

梨子「ひいいいい!!!」

 

 

梨子「東京に比べると人は少ないけど、やっぱり都会ね」

曜「そろそろ部活終わった人たちが来るころだよね」

千歌「よーし!気合入れて配ろう!」

 

千歌「あの!お願いします!」

千歌「……あれ?」

梨子「意外と難しいわね」

曜「こういうのは、気持ちとタイミングだよ!見てて!」

曜「ライブのお知らせでーす!よろしくお願いしまーす!」

「ライブ?」

曜「はい!」

「あなたが歌うの?」

曜「はい!来てください!」

「日曜かー、行ってみる?」

「いいよ」

曜「よろしくお願いしまーす!」

梨子「すごい……」

千歌「よし!私も!」

千歌「――ライブやります。ぜひ」

「え……でも……」

千歌「ぜひ!」

「ど、どうも……!」

千歌「勝った!」

梨子「勝負してどうするの?」

千歌「つぎ、梨子ちゃんだよ?」

梨子「え、私?」

千歌「当たり前でしょ?3人しかいないんだよ」

梨子「それは、わかってるけど……」

曜「お願いしまーす!」

梨子「こういうの苦手なのに……」

曜「お願いしまーす!」

梨子「あの、ライブやります!来てね!」

千歌「……なにやってるの?」

梨子「練習よ、練習」

千歌「練習してる暇なんてないの!さぁ!」

梨子「へ、千歌ちゃん?あ、ちょ、待って、ちょっと――!」

善子「!?」

梨子「――あ、すみません!」

梨子「……あ、あの……お願いします!」

善子「……」

梨子「あの……」

善子「……!」チラシを奪い去る

梨子「……やった」

曜「……あの人、どっかで見たような……」

 

 

ルビィ「うわぁ~……!」

花丸「決めた?」

ルビィ「うん!これにする!」

花丸「ほんとにアイドル好きなんだね」

ルビィ「花丸ちゃんは?」

花丸「マルは……これ!」

ルビィ「そ、そんなに?」

 

 

曜「お願いしまーす!」

千歌「お願いしまーす!」

千歌「……あ。花丸ちゃーん!」

ルビィ「……!」

千歌「花丸ちゃーん!はい!」

花丸「ライブ?」

千歌「花丸ちゃんも来てね!」

ルビィ「やるんですか!?」

千歌「え?」

ルビィ「……!」花丸の影に隠れる

千歌「……絶対満員にしたいんだ。だから、来てね?ルビィちゃん」

ルビィ「……」

千歌「じゃあ私、まだ配らなきゃいけないから!」

ルビィ「あああ、あの!」

千歌「え?」

ルビィ「ぐ、グループ名はなんて言うんですか?」

千歌「ぐるーぷ……めい?」

千歌「……あ……」

 

Bパート

 

梨子「まさか、決めてないなんて」

千歌「梨子ちゃんだって、忘れてたくせに」

曜「とにかく、早く決めなきゃ」

千歌「そーだよねー、どうせなら学校の名前入ってる方がいいよね。浦の星スクールガールズとか?」

梨子「まんまじゃない」

千歌「じゃあ梨子ちゃん決めてよー」

梨子「ええ?」

曜「そうだね、ほら東京で最先端の言葉とか!」

千歌「うん、そうだよそうだよ!」

梨子「……えぇ、えーっと……じゃあ、3人海で知り合ったから……スリーマーメイドとか……?」

ようちか「「1,2,3,4……」」

梨子「――待って!今のなし!」

 

千歌「曜ちゃんはなにかない?」

曜「んー……制服少女隊!どう?」

千歌「ないかな」

梨子「そうね」

曜「えーー!!??」

梨子「はぁ……こういうのはやっぱり、言い出しっぺがつけるべきよね」

曜「さんせーい!」

千歌「戻ってきたぁー!」

梨子「じゃあ制服少女隊で良いって言うの?」

千歌「スリーマーメイドよりはいいかな……」

梨子「それはなしって言ったでしょ!?」

千歌「だって……」

千歌「……?」

Aqours

千歌「これ、なんて読むの?」

千歌「えーきゅーあわーず……」

梨子「アキュア……?」

曜「もしかして、アクア?」

梨子「水ってこと?」

千歌「水かぁ……」

千歌「なんか、良くない?グループ名に」

梨子「これを?誰が書いたのかもわからないのに?」

千歌「だから良いんだよ!名前決めようとしているときに、この名前に出会った。それって、すごく大切なんじゃないかな!」

曜「そうかもね」

梨子「このままじゃ、いつまでも決まりそうにないし」

千歌「じゃあ、決定ね!この出会いに感謝して、今から、私たちは――」

 

 

「「「浦の星女学院スクールアイドル、Aqoursです!」」」

梨子「待って、でもまだ学校から正式な承認もらってないんじゃ……」

千歌「あぁー!じゃあ、えーっと……浦の星女学院非公認アイドル、Aqoursです!今度の土曜14時から、浦の星女学院体育館にてライブ――」

梨子「非公認っていうのはちょっと……」

ダイヤ「……💢💢」

千歌「じゃあ、なんて言えばいいのーーー!!!!」

 

 

梨子「よろしくお願いします」

千歌「よろしくー!」

梨子「ありがとうございます!」

「「「次は私たちもー!」」」

ちかりこ「「?」」

曜「じゃあ、せーの……全速前進ー!」

「「「ヨーソロー!」」」

千歌「さすが曜ちゃん、人気者ー……」

梨子「あはは……」

 

 

「手伝い?」

千歌「うん!」

「いいよ」

千歌「ほんと!?」

「もちろん!」

 

 

梨子「……」

ようちか「「……」」

ようちか「「……おぉ!ゴージャス!!」」

 

 

梨子「ここでステップするより、こう動いた方がお客さんに正対できていいと思うんだけど」

曜「じゃあ、ここで私がこっちに回り込んでサビに入る?」

梨子「間に合う?千歌ちゃーん、どう思う?」

千歌「zzz……」

梨子「……今日はそろそろおしまいね」

曜「うん」

曜「……って、ああっ、もうこんな時間!?バス終わっちゃってる……」

梨子「え!?」

 

 

曜「……うん、うん」

志満「大丈夫だった?」

曜「はい、いい加減にしなさいって怒られちゃったけど」

志満「ほんと、夢中よね」

曜「?」

志満「千歌ちゃんがここまでのめり込むなんて思わなかった」

曜「そうですか?」

志満「ほら、あの子ああ見えて飽きっぽいところあるでしょ?」

曜「飽きっぽいんじゃなくて、中途半端が嫌いなんですよ。やる時はちゃんとやらないと、気が済まないっていうか」

志満「……そっか。さすが曜ちゃん」

曜「えへへ」

志満「それで、うまく行きそうなの?ライブは」

曜「…………うん。行くといいけど」

志満「……満員か」

曜「人、少ないですからね、ここらへん」

曜「……」

志満「大丈夫よ。みんな、あたたかいから」

曜「……ふふ」

 

 

善子「……」

 

梨子「やっぱり慣れないわ。本当にこんなに短くて大丈夫なの?」

千歌「大丈夫だって!μ'sの最初のライブの衣装だって……これだよ!」

梨子「……はぁ。やっぱりやめておけばよかったかも、スクールアイドル」

曜「大丈夫!ステージ出ちゃえば忘れるよ!」

千歌「そろそろだね!えーっと……どうするんだっけ」

曜「確か、こうやって手を重ねて……」

千歌「……つなごっか」

梨子「え?」

千歌「こうやって互いに手をつないで……ね?あったかくて、好き」

曜「ほんとだ」

千歌「……雨、だね」

曜「みんな、来てくれるかな」

梨子「もし、来てくれなかったら……」

千歌「じゃあ、ここでやめて終わりにする?」

「「「……ふふっ」」」

千歌「――さあ行こう!今、全力で、輝こう!」

「「「Aqours!!サンシャイン!!」」

 

 

「「「……」」」

千歌「……!」

まばらな拍手

「「「……」」」

千歌「……!」

千歌「私たちは、スクールアイドル!せーの――」

「「「Aqoursです!!!」」」

梨子「私たちは、その輝きと」

曜「諦めない気持ちと」

千歌「信じる力に憧れ、スクールアイドルを始めました」

千歌「目標は、スクールアイドル、μ'sです!聴いてください!」

 

ダイスキだったらダイジョウブ

 

「――!!?」

「――え」

「――わっ」

「「「――!?」」」

ダイヤ「……」

千歌「……」

「……ち、千歌……」

梨子「どうすれば……」

曜「いったい、どうしたら……」

鞠莉「……」

鞠莉「……!」

千歌「気持ちが繋がりそうなんだ……」

曜「……!」

曜「知らないことばかり なにもかもが……」

ルビまる「「……!」」

梨子「それでも 期待で 足が軽いよ……」

千歌「温度差なんて いつか消しちゃえってね……」

千歌「……元気だよ 元気を出していくよ…………」

鞠莉「……」

果南「……」

千歌「……うぅっ……」

千歌「――!?」

「「「――!?」」」

千歌「……!?」

美渡「バカチカー!あんた開始時間間違えたでしょ!」

「――わっ!」

鞠莉「……!」

ルビまる「「わぁ――!」」

ようちかりこ「「「…………!」」」

ダイヤ「……」

千歌「ほんとだわたし……バカチカだ」

 

ダイスキだったらダイジョウブ

 

「「「わぁー!!!」」」

ルビまる「「わぁ――!」」

善子「……!」

鞠莉「……」微笑む

果南「……」無表情

 

ようちかりこ「「「……」」」

曜「……彼女たちは言いました」

梨子「スクールアイドルは、これからも広がっていく。どこまでだって行ける、どんな夢だって叶えられると」

ダイヤ「……」

千歌「――」

ダイヤ「これは今までの、スクールアイドルの努力と、街の人たちの善意があっての成功ですわ!勘違いしないように」

千歌「――わかってます!」

ダイヤ「……!?」

千歌「でも……でも、ただ見てるだけじゃ、始まらないって!」

梨子「……!」

曜「……」微笑む

千歌「うまく言えないけど――」

ルビまる「「……」」

善子「……」

鞠莉「……」

果南「……」立ち去る

千歌「――今しかない、瞬間だから……!」

千歌「……だから!」

ようちかりこ「「「――輝きたい!!!」」」

「「「…………」」」

千歌「……」

拍手

千歌「……!」

ED

2話写経

曜「前回の!」

「「「ラブライブ!サンシャイン!!」」」

曜「春、スクールアイドルμ’sを知った千歌ちゃんは、自分の学校にスクールアイドル部を作る決心をした!」

曜「そんなとき、千歌ちゃんは東京でピアノをやってるという女の子に出会い、スクールアイドルへの想いを話す」

梨子『離して!』

千歌『私も仲間と一緒に頑張ってみたい!』

曜「スクールアイドルを始めるため、作曲のできる生徒を探す千歌ちゃん」

曜「その前に、海で出会った女の子、梨子ちゃんが転校生として現れた!」

千歌『奇跡だよ!!』

 

 

『音ノ木坂学院高校1年、桜内梨子さん。曲は「海に還るもの」』

梨子『……』

梨子『……!』

梨子『……っ』

 

 

梨子「っ……!」

梨子「……」ベランダに出る

梨子「……」千歌の部屋の窓を見つめる

 

OP

 

梨子「ごめんなさい」

千歌「だからね、スクールアイドルっていうのはー!」

曜「……」

千歌「はぅぅ……」

 

梨子「ごめんなさい」

千歌「学校を救ったりもできたりして、すっごく素敵でー!」

梨子「……」

千歌「はぅぅぅ……」

 

千歌「どうしても作曲できる人が必要でー!」

梨子「ごめんなさーい!」

千歌「待っ……!わぶっ」

むつ「なに、あれ」

曜「あはは……」

 

千歌「1,2、1,2、1,2、1,2」

曜「またダメだったの?」

千歌「うん!でもあと一歩、あと一押しって感じかな!」

曜「ほんとかなあ……」

曜「よっと」START:DASH!!の再生を止める

千歌「だって、最初は――」

梨子『ごめんなさい!』

千歌「だったのが、最近は――」

梨子『っ……ごめんなさい……』

千歌「になってきたし!」

曜「嫌がってるようにしか思えないんだけど……」

千歌「だいじょうぶ!いざとなったら――」音楽の教科書

千歌「――なんとかするし!」

曜「それはー、あんまり考えない方がいいかもしれない……」

千歌「それより、曜ちゃんの方は?」

曜「あぁ!描いてきたよー!」

 

 

千歌「おぉ……」

曜「どう?」

千歌「すごいね……でも衣装というより制服に近いような……スカートとかないの?」

曜「あるよー!はい!」

千歌「えっ、いやーこれも衣装っていうか……もうちょっとこうかわいいのはー……」

曜「だったらこれかな!はい!」

千歌「武器持っちゃった!」

曜「かわいーよねー!!」

千歌「かわいくないよ!むしろこわいよー!」

曜「んー?」

千歌「もー、もっとかわいいスクールアイドルっぽい服だよー」

曜「と、思って!それも描いてみたよ!ほい!」(イラスト千歌、髪留めが四つ葉)

千歌「わぁー、すごーい!キラキラしてる!」

曜「でしょー?」

千歌「こんな衣装作れるの?」

曜「うん、もちろん!なんとかなる!」

千歌「ほんとー!?よーし、くじけてるわけにはいかない!」

 

 

ダイヤ「お断りしますわ!」

千歌「こっちも!?」

曜「やっぱり」

ダイヤ「5人必要だと言ったはずです。それ以前に、作曲はどうなったのです?」

千歌「それはー……たぶん……いずれー!……きっとー……可能性は無限大!」

千歌「……で、でも、最初は3人しかいなくて大変だったんですよね、u'sも」

ダイヤ「……!」

曜「?」

千歌「知りませんか?」

曜「……!ぁ……」

千歌「第2回ラブライブ優勝、音ノ木坂学院スクールアイドル、u's!」

ダイヤ「……それはもしかして、μ’sのことを言ってるのではありませんですわよね?」

ようちか「「……」」

ダイヤ「…………」

千歌「……あ、もしかしてあれ、みゅーずって読む……」

 

 

千歌「『おだまらっしゃーい!!』だって~!前途多難すぎるよ~……」

曜「……じゃー、やめる?」

千歌「やめない!んー!」

曜「だよね!」

 

 

ダイヤ「言うに事欠いて、名前を間違えるですって!?あぁん!?」

ダイヤ「μ’sはスクールアイドルにとっての伝説、聖域、聖典、宇宙にも等しき生命の源ですわよ!?その名前を間違えるとは……!」

ダイヤ「……片腹痛いですわ」

曜「……!!」目を輝かせてる?

千歌「……ち、ちかくないですか?」

 

 

千歌「あ、花丸ちゃーん!おーい!」

花丸「こんにちは」

千歌「はぁぁ、やっぱりかわいい……!」

千歌「……?……???」

花丸「……?」

ルビィ「!」

千歌「ルビィちゃんもいるー!」

ルビィ「……!」

 

 

ダイヤ「ふん、その浅い知識だと、たまたま見つけたから軽い気持ちで真似をしてみようとか思ったのですね?」

千歌「そんなこと……」

ダイヤ「ならば、μ’sが最初に9人で歌った曲、答えられますか?」

千歌「……え、えと……」

ダイヤ「ぶーっ!ですわ!」

 

 

千歌「……ほーらほら、こわくなーい……食べる?」

ルビィ「……!えへへ……」

千歌「よっと!」

ルビィ「うぅ……うゅ!」

千歌「ふふん……とぉりゃ!!」

ルビィ「わ!!」

千歌「捕まえた!」

ルビィ「うぅ……!」

 

 

ダイヤ「『僕らのLIVE 君とのLIFE』、通称ぼららら。次、第2回ラブライブ予選でμ’sがA-RISEと一緒にステージに選んだ場所は?」

千歌「ステージ……?」

ダイヤ「ぶっぶー!ですわ!」

ダイヤ「秋葉原UTX屋上。あの伝説と言われるA-RISEとの予選ですわ!次、ラブライブ第2回決勝、μ’sがアンコールで歌った曲は――」

千歌「知ってる!『僕らは今のなかで』!」

ダイヤ「――ですが」

 

 

バス車内

花丸「スクールアイドル?」

千歌「すっごく楽しいよ!興味ない?」

花丸「あ、いえ、マルは図書委員の仕事があるずら。……ぃ、いや、あるし」

千歌「そっかー、ルビィちゃんは?」

ルビィ「え、あ、ぁ、ルビィはその……お姉ちゃんが……」

千歌「お姉ちゃん?」

花丸「ルビィちゃん、ダイヤさんの妹ずら」

千歌「えっ?あの生徒会長の?」

曜「なんでか嫌いみたいだもんね、スクールアイドル」

ルビィ「……はい……」

花丸「……」

 

 

ダイヤ「――ですが。曲の冒頭、スキップしている4名は誰?」

千歌「えぇー!?」

ダイヤ「ぶっぶっぶーーー!!!っですわぁ!!!」

 

花丸「?」

ルビィ「……」

 

ダイヤ「絢瀬絵里東條希星空凛西木野真姫!こんなの基本中の基本ですわよ?」

曜「す、すごい……」

千歌「生徒会長、もしかしてμ’sのファン……?」

ダイヤ「当たり前ですわ、わたくしを誰だと……んっんんっ、一般教養ですわ一般教養!」

ようちか「「えー??」」

ダイヤ「っ……と、とにかく、スクールアイドル部は認めません!」

 

ルビィ「……っ」

 

 

ルビィ「……」

花丸「……」

曜「今は、曲作りを先に考えた方がいいかも。何か変わるかもしれないし!」

千歌「そうだねー……花丸ちゃんはどこで降りるの?」

花丸「今日は沼津までノートを届けに行くところで」

千歌「ノート?」

花丸「はい、実は入学式の日――」

 

 

善子『堕天使ヨハネと契約して、あなたも私のリトルデーモンになってみない?うふふ……』

『『『……』』』

花丸『……』

ルビィ『……!!』見惚れる

善子『…………ぴーーーんち!うぅ!』

 

 

花丸「――それっきり、学校に来なくなったずら」

ルビィ「……」苦笑い

曜「そうなんだ……」

 

千歌「――じゃーねー!!」

千歌「……!」

千歌「桜内さーん!」

梨子「!……はぁ……」

千歌「まさか、また海入ろうとしてるー?」

梨子「……してないですっ!!」

千歌「よかったっ」

梨子「あのねぇ、こんなところまで追いかけてきても、答えは変わらないわよ?」

千歌「へ?あ、ちがうちがう、通りかかっただけ。そういえば、海の音、聴くことはできた?」

梨子「……」

千歌「(微笑んで)……じゃあ、今度の日曜日空いてる?」

梨子「……どうして?」

千歌「お昼にここに来てよ。海の音、聴けるかもしれないから」

梨子「聴けたらスクールアイドルになれって言うんでしょ」

千歌「うーん、だったらうれしいけど……その前に聴いてほしいの。歌を」

梨子「歌?」

千歌「梨子ちゃん、スクールアイドルのこと全然知らないんでしょ?だから、知ってもらいたいの!……ダメ?」

梨子「……」

梨子「……あのね、私、ピアノやってるって話したでしょ?」

千歌「……うん」

梨子「小さい頃から、ずーっと続けてたんだけど。最近、いくらやっても上達しなくて、やる気も出なくて」

梨子「それで、環境を変えてみようって。海の音を聴ければ、何かが変わるのかなって……」

千歌「…………変わるよ、きっと」手を取る

梨子「簡単に言わないでよ」

千歌「分かってるよ。でも、そんな気がする」

梨子「……変な人ね、あなた」

梨子「とにかく、スクールアイドルなんてやってる暇はないの。ごめんね」

千歌「……」手を離さない

梨子「……?」

千歌「わかった、じゃあ海の音だけ聴きに行ってみようよ。スクールアイドル関係なしに」

梨子「え?」

千歌「ならいいでしょ?」

梨子「……」

梨子「……ほんと、変な人」

 

Bパート

 

果南「音ノ木坂から来た転校生?」

千歌「そうなんだよ、あのμ’sの!」

梨子「そんなに有名なの?」

果南「ふぅん、知らないんだ?」

 

 

梨子「イメージ?」

果南「水中では、人間の耳には音は届きにくいからね。ただ、景色はこことは大違い。見えてるものからイメージすることはできると思う」

梨子「想像力を働かせるってことですか?」

果南「ま、そういうことね。できる?」

梨子「やってみます」

 

 

梨子「……」

千歌「……」

曜「……」

梨子「……」首を振る

梨子「……ふぅ」

曜「ダメ?」

梨子「残念だけど……」

千歌「イメージか……確かに難しいよね」

梨子「簡単じゃないわ。景色は真っ暗だし」

曜「真っ暗?」

千歌「そっか、わかった!もう一回いい?」

果南「……」

 

梨子「……」

千歌「……」

曜「……」

(アバンの回想)

梨子「……」

梨子「……!」

ようちか「「」」上を指差す

梨子「!」

梨子「……!!」

 

梨子「ぷはぁっ、はぁ……」

千歌「っはぁ、聴こえた?」

梨子「うん……!」

千歌「私も聴こえた気がする!」

曜「ほんと?私も!」

ようちかりこ「「「ふふっ……あははは!!!」」」

果南「……」微笑む

 

 

千歌「えぇ、うそ!」

曜「ほんとに!?」

梨子「ええ」

千歌「ありがとぉ……ありがとー!!……ぅわっ」

梨子「待って、勘違いしてない?」

千歌「へ?」

梨子「私は曲作りを手伝うって言ったのよ?スクールアイドルにはならない」

千歌「えぇ~!?」

梨子「そんな時間はないの」

千歌「そっか……」

曜「無理は言えないよ」

千歌「そうだね~……」

梨子「じゃあ詞をちょうだい?」

千歌「し?」

千歌「し……し?」

千歌「し!」鞄にみかん

千歌「しってなに~~~~」

曜「たぶん~~~~歌の歌詞のことだと思う~~~~」

ようちか「「歌詞?」」

 

 

梨子「……あれ?ここ、旅館でしょ?」

千歌「そうだよ?」

曜「ここなら時間気にせずに考えられるから!バス停近いし帰りも楽だしねー」

志満「いらっしゃーい。あら曜ちゃーん、相変わらずかわいいわねー」

曜「えへへ」

志満「そちらは千歌ちゃんの言ってた子?」

千歌「うん!しま姉ちゃんだよ!」

梨子「あっ、あ……桜内梨子です」

志満「よろしく。こちらも美人さんねー」

千歌「そうなんだよー!さすが東京から来たって感じでしょー?」

志満「ほんとに!何もないところだけど、くつろいでいってね」

美渡「志満姉~」

千歌「みと姉、……そのプリン、もしかして!」

美渡「やばっ」

梨子「ひいいぃっ」

千歌「待てぇー!私のプリンーーー!」

 

 

千歌「ひどすぎるよ!しま姉が東京で買ってきてくれた限定プリンなのにー!そう思わない!?」

梨子「……それより、作詞を……」

美渡「いつまでも取っとく方が悪いんですー!」

千歌「うるさい!」

梨子「」エビ

曜「ひぃっ」

美渡「甘いわ!とりゃっ」

梨子「」浮き輪

曜「うぅわっ」

美渡「……やばっ」

梨子「……」

梨子「……失礼します」ピシャッ

梨子「さあ始めるわ――」

千歌「曜ちゃんもしかしてスマホ変えた?」

曜「うん!進級祝い!」

千歌「いいなー!」

梨子「」ドンッ

 

美渡「逃げるぞしいたけ!」

 

梨子「は・じ・め・る・わ・よ?」

曜「……」

千歌「……はい」

 

 

千歌「~~~……うぅ~ん……」

梨子「やっぱり、恋の歌は無理なんじゃない?」

千歌「いやだ!μ’sのスノハレみたいなのを作るの!」

梨子「そうは言っても、恋愛経験ないんでしょ?」

千歌「なんで決めつけるの?」

梨子「あるの?w」

千歌「……無いけど……」

梨子「やっぱり……それじゃあ無理よ」

千歌「……でも、ていうことは、μ’sの誰かがこの曲を作ってたとき、恋愛してたってこと?あ、ちょっと調べてみる!」

梨子「なんでそんな話になってるの?作詞でしょ?」

千歌「でも気になるし!……!」カタカタ

曜「千歌ちゃん、スクールアイドルに恋してるからね」

梨子「ほんとうに……」

梨子「……!」

曜「……!」

梨子「……」

曜「……」

千歌「なに?」

梨子「今の話、聞いてなかった?」

曜「スクールアイドルにドキドキする気持ちとか、大好きって感覚とか」

梨子「それなら、書ける気しない?」

千歌「……!」

千歌「――!!」

千歌「うん!書ける、それならいくらでも書けるよ!!えっと、まず、輝いているところでしょ、それからー!えへへ、あとね――」

梨子「……」目を潤ませる

 

『梨子ちゃん、とっても上手ね』

梨子『だって、ピアノ弾いてると空飛んでるみたいなの!』

梨子『自分がキラキラになるの!お星さまみたいに!』

 

千歌「――はい!」

梨子「もうできたの?」

千歌「参考だよ!私、その曲みたいなの作りたいんだ!」

梨子「……ユメノ……トビラ?」

千歌「私ね、それを聴いてね、スクールアイドルやりたいって、μ’sみたいになりたいって本気で思ったの!」

梨子「μ’s、みたいに……?」

千歌「うん!頑張って、努力して、力を合わせて、奇跡を起こしていく……私でも、できるんじゃないかって!今の私から、変われるんじゃないかって!そう思ったの!」

梨子「……!……本当に好きなのね」

千歌「……うん!」

千歌「――大好きだよ!」

 

 

梨子「……」

梨子「……」スマホユメノトビラを再生する

梨子「……」

千歌『みんな私と同じような、どこにでもいる普通の高校生なのに……キラキラしてた』

千歌『スクールアイドルって、こんなにも、キラキラ輝けるんだって!』

梨子「……」

梨子「……」ピアノの蓋を開ける

梨子『……!』

梨子『……っ』

梨子『……』

梨子『……』頭を下げる

梨子「……」

梨子「……『ユメノトビラ ずっと探し続けた』」

梨子「『君と僕との つながりを探してた』……」

梨子「……!」

千歌「わぁ……!えへへ」

梨子「!?……高海……さん……?」

千歌「梨子ちゃん!そこ梨子ちゃんの部屋だったんだ!」

梨子「そっか、引っ越したばかりで全然気付かなくて……」

千歌「今の、ユメノトビラだよね!?」

梨子「え?」

千歌「梨子ちゃん、歌ってたよね!?」

梨子「っ……いや、それは……」

千歌「ユメノトビラ、ずっと探し続けていた」

梨子「……そうね」

千歌「その歌、私大好きなんだ!第2回ラブライブの――」

梨子「――高海さん」

千歌「え?」

梨子「私、どうしたらいいんだろう。何やっても楽しくなくて、変われなくて……」

千歌「梨子ちゃん……」

千歌「……やってみない?スクールアイドル」

梨子「ダメよ……このままピアノを諦めるわけには……!」

千歌「やってみて、笑顔になれたら、変われたらまた弾けばいい。諦めることないよ」

梨子「……失礼だよ。本気でやろうとしている高海さんに、そんな気持ちで……」

梨子「……そんなの、失礼だよ」

千歌「――梨子ちゃんの力になれるなら、私はうれしい。みんなを、笑顔にするのが――スクールアイドルだもん」

千歌「んっ……!」手を伸ばす

梨子「千歌ちゃん!」

千歌「それって――とっても素敵なことだよ?」

梨子「……!」

梨子「んぅっ……!」手を伸ばす

梨子「っ……さすがに、届かないね――」

千歌「――待って、ダメ!」

梨子「……!!」

梨子「――!!んっ、んぅっ……!」

千歌「くっ……!んううっ……!」

梨子「……!!……わぁ――!!!」

千歌「わぁぁ――!!!」

 

ED

1話写経

千歌(普通な私の日常に、突然訪れた、奇跡)

 

 

ようちか「「わぁー!!」」

曜「千歌ちゃーん!見て見てー!」

千歌(何かに夢中になりたくて)

モブ「どうぞー!」

千歌(何かに全力になりたくて)

千歌「あー、待って待って!」

千歌(脇目も振らずに走りたくて、でも)

千歌(何をやっていいかわからなくて)

千歌(燻っていた私の全てを)

千歌(吹き飛ばし、舞い降りた!)

千歌「うわぁっ!――――わぁ……!」

千歌(それが……!)

 

OP

 

千歌「スクールアイドル部でーす!春から始まるー、スクールアイドル部ー!」

千歌「よろしくお願いしまーす!あなたも!あなたも!スクールアイドル、やってみませんか!?」

千歌「輝けるアイドル!スクールアイドルーー!!!」

曜「…………千歌ちゃん」

千歌「……うぅ……スクールアイドル部でーす……」

曜「?」

千歌「今、大人気の……スクールアイドルでーーーーすーー!!」

 

 

千歌「あぁぅっ!」

 

美渡「何?」

志満「千歌ちゃんだと思うけど」

美渡「まさかまだやってるの?お客さんに迷惑だよ」

志満「言ったんだけど……」

美渡「お前も言ってやって?こーんな田舎じゃ無理だーって!」

 

千歌「ぅいったぁ……いたた……」

曜「大丈夫?」

千歌「へーきへーき!もう一度!……どう?」

曜「うぅーん……たぶん……」

千歌「てへっ」

曜「できてると思う!」

千歌「っよし!」

曜「……本当に始めるつもり?」

千歌「うん!」

曜「?」

千歌「新学期始まったら、すぐに部活を立ち上げる!」

曜「あはは……他に部員は?」

千歌「ううん、まだ。曜ちゃんが水泳部じゃなければ、誘ってたんだけど」

曜「(表情を変えず)でも、どうしてスクールアイドルなの?」

千歌「なんで?」

曜「だって、今までどんな部活にも興味ないって言ってたでしょ?どうして?」

千歌「……えへっ」

曜「?」

ようちか「「……って」」

ようちか「「もうこんな時間ーー!?」」

千歌(ガヤ)「ああもう曜ちゃん押さないでよぉ!」

志満「こっちの玄関使っちゃダメって言ってるでしょー?」

ようちか「「ごめんなさーい!!!!」

曜「うわぁっ待ってー!!」

千歌「乗りますよー!!」

ようちか「「いってきまーす!!!!」」

 

 

ようちか「「ふぅ……」」

千歌「間に合ったぁ~……危なく無駄になるところだったよ……」

曜「そんなのまで作ったんだ?」

千歌「うん。早い方がいいでしょ?はぁ……楽しみだなぁ……!」

曜「……あー……でも……」

千歌「なになに?」

曜「ぃよっしゃ!今日は千歌ちゃんのために、一肌脱ぎますか!」

 

 

曜「スクールアイドル部でーす……」

曜「……大人気、スクールアイドル部でーす…………」

千歌「はぁ……」

曜「全然だね……」

千歌「……ん?――――わぁ……!」

曜「……美少女……?ぅわぁたっ!」

千歌「あのっ!」

花丸「はわぁっ!」

千歌「スクールアイドル、やりませんか?」

花丸「ずらっ!?」

千歌「ずら?」

花丸「……っ!い、いぇ……」

千歌「だいじょうぶ、悪いようにはしないから!」

千歌「あなたたちきっと人気が出る!間違いない!――……?」

ルビィ「……!」

花丸「うぅ……でもマルは……」

千歌「……さっ!……ささっ!」

ルビィ「……!!」

千歌「興味あるの!?」

ルビィ「ライブとか、あるんですか!?」

千歌「ううん、これから始めるところなの!だから、あなたみたいなかわいい子にぜひ!」

ルビィ「……!!!!」

花丸「ずらっ」

千歌「?」

ルビィ「ピギャアアアアアアアアアアアア!!!!!!お、おねいちゃああああああ!!!!!」

曜「うわあっ!!」

花丸「ルビィちゃんは、究極の人見知りずら」

善子「きゃああああああ!!!!?」

千歌「わわっ」

ルビィ「っ!」花丸の背中に隠れる

善子「……ううううぅぅぅ……あし…………ぐぁっ」頭に鞄落下

千歌「ちょっ、いろいろ大丈夫……?」

善子「ううっ……うっ……ふっふっふふふ……!ここはもしかして、地上……?」

ようちか「「!?」」

花丸「……?」

ルビィ「!!」

千歌「だいじょぶじゃ、ない……?」

善子「ということは、あなたたちは下劣で下等な人間ということですか?」

曜「うわっ」

千歌「それより足、大丈夫……?」

善子「いっ……!!!ったいわけないでしょう……?この身体は単なる器なのですから」

千歌「ぅえ……?」

善子「ヨハネにとってはこの姿はあくまで仮の姿……。おぉっと、名前を言ってしまいましたね、堕天使ヨ花丸「善子ちゃん?」ハネ」

善子「ぅええ!?」

花丸「やっぱり善子ちゃんだー!花丸だよ?幼稚園以来だね!」

善子「は……な……ま……るぅぅっ!?に、人間風情が何を言って……」

花丸「じゃーんけーん……」

よしまる「「ぽん!!」」

善子「ううぅ……!」

花丸「そのチョキ……やっぱり善子ちゃん!」

善子「善子ゆーなっ!!いーい?私はヨハネヨハネなんだからねー!」

花丸「あっ、善子ちゃーん!」

ルビィ「あ、マルちゃん!」

善子「善子ゆーなー!」

花丸「どうしたの善子ちゃーん!」

ルビィ「待ってぇ~~!!」

善子「くるなーー!!」

 

千歌「あの子たち……あとでスカウトに行こう!」

曜「あははは……」

ダイヤ「……あなたですの?このチラシを配っていたのは」

ようちか「「?」」

ダイヤ「いつ何時、スクールアイドル部なるものがこの浦の星女学院にできたのです?」

曜「……!!」

千歌「あなたも1年生?」

曜「千歌ちゃん、違うよその人は新入生じゃなくて3年生!しかも……」

千歌「……っうそ」

千歌「生徒会長……!」

ダイヤ「……ふふ」

 

 

ダイヤ「……つまり、設立の許可どころか申請もしていないうちに、勝手に部員集めをしていたというわけ?」

千歌「悪気はなかったんです。ただ、みんな勧誘してたんでー、ついでと言うかー、焦ったぁーと言うか……」

ダイヤ「部員は何人いるんですの?ここには1人しか書かれていませんが」

千歌「今のところ……1人です」

ダイヤ「……部の申請は最低5人は必要というのは知っていますわよね?」

千歌「だーから勧誘してたんじゃないですかぁー」

ダイヤ「――ふん!!」

千歌「うわぁぁ!?」

ダイヤ「……ぁいったぁ~~……」

千歌「ぷっふふ!」

ダイヤ「笑える立場ですの!?」

千歌「わぁっ!?……ぅ、すいません」

ダイヤ「とにかく、こんな不備だらけの申請書、受け取れませんわ」

千歌「えぇーー!?」

曜「……千歌ちゃーん、一回もどろー?」

千歌「――!!……じゃあ、5人集めてまた持ってきます!」

ダイヤ「別に構いませんけど。たとえそれでも承認はいたしかねますがね」

千歌「どうしてです!?」

ダイヤ「――わたくしが生徒会長で居る限り、スクールアイドル部は認めないからです!」

千歌「そ、そんなぁーー!!!!!」

 

 

千歌「はぁーあ、失敗したなぁ」

千歌「でもどうしてスクールアイドル部はダメ、なんて言うんだろう」

曜「……嫌い、みたい」

千歌「?」

曜「(顔をそむけながら)クラスの子が前に作りたいって言いに言ったときも断られた、って……」

千歌「え!?曜ちゃん知ってたの!?」

曜「ごめん!!」

千歌「先に言ってよぉー!!」

曜「……だって、千歌ちゃん夢中だったし。……言い出しにくくて」

曜「とにかく、生徒会長の家、網元で結構古風な家らしくて、だからああいうチャラチャラした感じのものは嫌ってるんじゃないかって噂もあるし……」

千歌「……チャラチャラじゃないのになぁ」

 

 

千歌「よっ!着いた!」

果南「遅かったね。今日は入学式だけでしょ?」

曜「うん、それがいろいろと……」

千歌「はい!回覧板と、お母さんから」

果南「どうせまたみかんでしょ?」

千歌「文句ならお母さんに言ってよぉ」

果南「ふふふ」

 

果南「よっ……と」

曜「それで、果南ちゃんは新学期から学校来れそう?」

果南「うーん、まだ家の手伝いも結構あってね。よっ……父さんの骨折も、もうちょっとかかりそうだし」

千歌「そっかぁ……果南ちゃんも誘いたかったなぁ」

果南「誘う?」

千歌「うん!私ね、スクールアイドルやるんだ!」

果南「……………………ふーん。……まあ、でも私は千歌たちと違って3年生だしね」

千歌「知ってるー!?すごいんだよー!!」

果南「はい、お返し」

曜「あっはは!」

千歌「また干物ー?」

果南「文句は母さんに言ってよー。ま、そういうわけで」

果南「もうちょっと休学続くから、学校でなんかあったら教えて」

千歌「……?」

ブロロロロ……

千歌「?」

曜「?」

千歌「なんだろう?」

果南「…………小原家でしょ」

 

鞠莉「ニネンブゥリデスカ」

 

 

千歌「んぅぅー……っはぁ」

千歌「どーにかしなくちゃなー……せっかく見つけたんだし……」

千歌「はぁぁ……」

千歌「……?」

梨子「……」

千歌「……え」

梨子「……!」

千歌「え……?」

梨子「……っ」

千歌「うそ……まだ4月だよ」

梨子「っ……たああああああ!!!」

千歌「待って!!死ぬから死んじゃうからあ!!」

梨子「離して!行かなくちゃいけないの!」

千歌「ううっ!」

千歌「……え?」

梨子「わぁぁ!?」

ちかりこ「「うわあーー!!!!」」

 

Bパート

 

梨子「……くしゅん」

千歌「大丈夫?沖縄じゃないんだから」

千歌「海に入りたければ、ダイビングショップもあるのに」

梨子「……海の音を聴きたいの」

千歌「海の音?……どうして?」

梨子「……」

千歌「……わかったじゃーもう聞かないー……」

千歌「!海中の音ってこと!?」

梨子「ふふっ……私、ピアノで曲を作ってるの。でも、どうしても海の曲のイメージが浮かばなくて」

千歌「ふわぁー、曲を?作曲なんてすごいね!ここら辺の高校?」

梨子「……東京」

千歌「東京?わざわざ?」

梨子「わざわざっていうか……」

千歌「そうだ、じゃあ誰かスクールアイドル知ってる?」

梨子「スクールアイドル?」

千歌「うん!ほら、東京だと有名なグループたくさんいるでしょ?」

梨子「何の話?」

千歌「へ……?」

 

千歌「まさか知らないの!?スクールアイドルだよ!?学校でアイドル活動して、大会が開かれたりする!」

梨子「有名なの?」

千歌「有名なんてもんじゃないよ!ドーム大会も開かれたことがあるくらい、超人気なんだよ!」

千歌「って、私も詳しくなったのは最近だけど……」

梨子「そうなんだ。私、ずっとピアノばかりやってきたから、そういうの疎くて」

千歌「じゃあ、見てみる?なんじゃこりゃー!ってなるから」

梨子「なんじゃこりゃ?」

千歌「なんじゃこりゃ!」

梨子「……うーん……これが……」

千歌「どう?」

梨子「どうって……なんというか……普通?」

梨子「ああいえ、悪い意味じゃなくて、アイドルって言うからもっと芸能人みたいな感じかと思ったっていうか……」

千歌「…………だよね」

梨子「え?」

千歌「だから、衝撃だったんだよ」

梨子「……?」

千歌「……あなたみたいにずっとピアノを頑張ってきたとか、大好きなことに夢中でのめり込んできたとか、将来こんなふうになりたいって夢があるとか――」

千歌「……よっ、と」

千歌「――そんなのひとつもなくて」

梨子「……」

千歌「……私ね、普通なの」

千歌「私は、普通星に生まれた普通星人なんだって。どんなに変身しても、普通なんだって。そんなふうに思ってて、それでも何かあるんじゃないかって、思ってたんだけど」

千歌「気がついたら、高2になってた」

千歌「まずっ!このままじゃ本当にこのままだぞ!普通星人を通り越して、普通怪獣ちかちーになっちゃうーって!がおー!!……ふふっ」

千歌「ぴーどかーん!うおーしゅしゅしゅしゅーどーんあははっ!」

梨子「……ふふっ」

千歌「ふふ。……そんなとき、出会ったの。あの人たちに」

 

千歌「みんな私と同じような、どこにでもいる普通の高校生なのに、キラキラしてた」

千歌「それで思ったの。一生懸命練習して、みんなで心をひとつにしてステージに立つと、こんなにもかっこよくて、感動できて……!素敵になれるんだ、って!」

千歌「スクールアイドルって、こんなにも、こんなにも、こんなにも!!!キラキラ輝けるんだって!!!」

 

千歌「――気付いたら全部の曲を聴いてた。毎日動画見て、歌を覚えて、そして思ったの!」

千歌「私も仲間と一緒に頑張ってみたい!この人たちが目指したところを、私も目指したい」

千歌「……私も、輝きたいって!」

梨子「……ありがとう。なんか頑張れって言われた気がする、今の話」

千歌「ほんとに?」

梨子「ええ!スクールアイドル、なれるといいわね」

千歌「うん!あ、私、高海千歌!あそこの丘にある、浦の星女学院って高校の2年生」

梨子「同い年ね。私は桜内梨子。高校は――」

梨子「――音ノ木坂学院高校」

 

 

曜「もう一度?」

千歌「うん!ダイヤさんのところに行って、もう一回お願いしてみる!」

曜「でも」

千歌「諦めちゃダメなんだよ!あの人たちも歌ってた、その日は絶対来るって」

曜「……本気なんだね」

千歌「え?」

曜「やっ」

千歌「あ、ちょっと!」

曜「……私ね、小学校の頃からずーっと思ってたんだ。千歌ちゃんと一緒に夢中で、何かやりたいなーって」

千歌「曜ちゃん……?」

曜「――だから、水泳部と掛け持ち、だけど!」

曜「えへっ!はい!」

千歌「曜ちゃん……!!……ううっ、よーちゃーん!!!よーちゃーん!!」

曜「くるしいよー!」

千歌「よーーし!絶対すっごいスクールアイドルになろうね!!」

曜「うん!!」

ようちか「「……?」」

ようちか「「わーーー!!!!!!」」

 

 

ダイヤ「ふぅ……よくこれでもう一度持ってこようという気になりましたわね。しかも1人が2人になっただけですわよ?」

千歌「やっぱり、簡単に引き下がったらダメだって思って!きっと生徒会長は私の根性を試しているんじゃないかって!」

ダイヤ「違いますわ!何度来ても同じとあの時も言ったでしょう!?」

千歌「っ……どうしてです!!」

ダイヤ「この学校には、スクールアイドルは必要ないからですわ!!」

千歌「なんでですっ!!」

ちかダイ「「……っっ!!!!!!」」

曜「まあまあ……」

ダイヤ「あなたに言う必要はありません!だいたい、やるにしても曲は作れるんですの?」

千歌「曲?」

ダイヤ「……ラブライブに出場するには、オリジナルの曲でなくてはいけない。スクールアイドルを始めるときに、最初に難関になるポイントですわ」

ダイヤ「東京の高校ならいざ知らず、うちのような高校だと、そんな生徒は……」

千歌「……!」

 

千歌「1人もいなーい……生徒会長の言うとおりだったぁ……」

曜「大変なんだね、スクールアイドル始めるのも……」

千歌「……こうなったら!私が!なんとかして!!」

曜「できる頃には卒業してると、思う!」

千歌「だよねー……」

先生「はーい、皆さん」

ようちか「「?」」

先生「ここで転校生を紹介します」

千歌「……」

先生「今日から、この学校に編入することになった――」

梨子「……くしゅん、失礼。東京の、音ノ木坂という高校から転校してきました――」

曜「?」

千歌「……わぁ――!」

梨子「――桜内梨子です。よろしくお願いします」

千歌「――奇跡だよ!!」

梨子「!?あ、あなたは……!」

千歌(それが、全ての始まりだった!!)

 

決めたよHand in Hand

 

千歌「――一緒に、スクールアイドル!始めませんか!?」

梨子「……ふふっ」

千歌「……えへへ」

梨子「――ごめんなさい」

千歌「え?」

千歌「えーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!????????」