13話写経

果南「前回の」

「「「ラブライブ!サンシャイン!!」」」

千歌『Aqours!』

果南「ラブライブの予備予選を突破した私たち」

千歌『0……』

曜『東京?』

果南「μ'sがどうやって学校を救ったかを知るために、東京へ向かった」

千歌『μ'sのすごいところって、きっと何もないところを、何もない場所を、思いっきり走ったことだと思う』

千歌『みんなの夢を、叶えるために』

果南「こうして私たちは、ラブライブの地区予選に挑むことになった!」

 

 

千歌「はじめまして!私たちは浦の星女学院スクールアイドル――」

「「「Aqoursです!」」」

千歌「今日は、みなさんに伝えたいことがあります」

千歌「それは……!」

 

OP

 

御用の方は屋上にまでずら♡ 国木田

果南「1, 2, 3, 4! 1, 2, 3, 4!」

果南「今のところの移動は、もう少し速く!」

ルビィ「はい!」

果南「善子ちゃんは……」

善子「ヨハネ!」

果南「ふふっ、さらに気持ち急いで!」

善子「承知!(Affirmative!) 空間移動使います!」

 

果南「はい、じゃあ休憩しよ」

「「「ふぅうぅ……」」」

花丸「暑すぎずら~……」

ルビィ「今日も真夏日だって~……」

曜「はい!」

ルビマル「「?」」

曜「水分補給は欠かさない約束だよ?」

ルビィ「ありがとう……!」

花丸「ずら!」

果南「ふぅ、今日もいい天気!」

ダイヤ「休まなくていいんですの?日向にいると体力持っていかれますわよ」

鞠莉「果南はシャイニーの子だからね!(But Kanan was born shining!)」

善子「ふぃ~……」

「「「?」」」

ダイヤ「黒い服はやめた方がいいとあれほど……」

善子「黒は堕天使のアイデンティティ……黒がなくては、生きていけない……」

ダイヤ「死にそうですが……?」

梨子「千歌ちゃーん!」

千歌「ほっ、と」

曜「ナイスキャッチ!」

梨子「飲んでー!」

千歌「ありがとう!」

千歌「えへっ、私、夏好きだな。なんか熱くなれる」

梨子「ふふっ」

曜「私も!」

千歌「よーし!そろそろ再開しようか!」

ダイヤ「ぶっぶーーー!!」

千歌「なに!?」

ダイヤ「オーバーワークは禁物ですわ!」

鞠莉「by果南!」

果南「ふふっ」

鞠莉「みんなのこと考えてね?」

千歌「そっか、これから一番暑い時間だもんね」

ダイヤ「ラブライブの地区予選も迫って焦る気持ちもわかりますが、休むのもトレーニングのうちですわよ」

ルビィ「さすがお姉ちゃん!」

果南「でもその前に」

千歌「?」

果南「みんな100円出して!」

善子「やってきたのですね……本日のアルティメットラグナロク……!」

善子「クック……クク……未来が、時が――見える!」

果南「じゃあ行くよ?」

花丸「じゃーんけーん……」

 

 

善子「なんでいつも負けるのかしら……」

「1158円です」

善子「誰よ!高いアイス頼んだの!」

 

 

花丸「ずら~……」

ルビィ「ピギィ……」

善子「よはぁ……」

梨子「全然こっちに風来ないんだけど……」

曜「教室に冷房でもついてたらな~……」

梨子「統合の話が出てる学校なのに、つくわけないでしょう?」

千歌「だよね~……」

千歌「そうだ、学校説明会の参加者って今どうなってるの?」

鞠莉「よっ」

ダイヤ「鞠莉さん!はしたないですわよ」

鞠莉「今のところ……」

千歌「今のところ……?」

鞠莉「今のところ…………」

千歌「今のところ…………!」

鞠莉「Zero~♪」

千歌「はぁ……」

千歌「そんなにこの学校魅力ないかな……少しくらい来てくれてもいいのに……」

曜「……」

ガラガラ

曜「?」

千歌「?」

「あれ?」

千歌「むっちゃんたち、どうしたの?」

「うん、図書室に本返しに……」

「もしかして、今日も練習?」

千歌「もうすぐ地区予選だし」

「この暑さだよー?」

千歌「そうだけど、毎日だから慣れちゃった」

「毎日?」

「夏休み……」

「毎日練習してたの?」

千歌「うん!」

果南「そろそろ始めるよー!」

千歌「あ、うん!じゃあね!」

「がんばってね(Good luck)……」

「練習、毎日やってたんだ……」

「千歌たちって、学校存続させるためにやってるんだよね」

「うん……」

「でもすごくキラキラしてて……!」

「まぶしいね!」

「うん!」

 

 

千歌「ふぅ~……」

千歌「今日もめいっぱいだったね~!」

曜「でも、日に日によくなってる気がする!」

ダイヤ「それで?歌の方はどうですの?」

梨子「花丸ちゃんと歌詞を詰めてから(Hanamaru and I are going to iron out the lyrics,)、果南ちゃんとステップ決めるところ(and then Kanan will decide on the steps)」

鞠莉「聴いてる人にハートに、シャイニーできるといいんだけど」

果南「ま、とにかく今は疲れを取ってまた明日に備えよ?……っとぅ!」

ダイヤ「また服のままで!」

善子「だてーん!」

鞠莉「シャイニー!」

ダイヤ「はしたないですわよ!」

果南「だって気持ちいいんだもーん!」

千歌「あ……」

「「「?」」」

夕空と飛行機雲

 

「あ、いたいた!」

「千歌ー!」

千歌「あれ、むっちゃん?帰ったんじゃなかったの?」

「うん、でも……」

「なんか、ちょっと気になっちゃって」

千歌「え?」

「千歌たちさ、夏休み中ずっとラブライブに向けて練習してたんでしょ?」

「そんなにスクールアイドルって面白いのかなって」

「私たちも、一緒にスクールアイドルになれたりするのかな。……学校を救うために」

「実は他にも、もっと自分たちにも何かできるんじゃないかって考えてる子、結構いるみたいで」

ダイヤ「そうなのですか?」

「はい」

「統廃合の話、あったでしょ?みんな最初は、仕方ないって思ってたみたいなんだけど……」

「やっぱり、みんなこの学校大好きなんだよね!」

「だから、学校を救ったりキラキラしたり輝きたいのは、千歌たちだけじゃない。私たちも一緒に、何かできることあるんじゃないかって」

千歌「…………!!」

曜「千歌ちゃん?」

「どうかな?」

千歌「……やろう!!みんな一緒に!!」

「ほんと!?」

千歌「うん!!」

「やったー!!」

曜「なんかわくわくしてくるね!」

千歌「楽しみだな、ラブライブ!

梨子「……」

 

 

梨子「歌?」

千歌「うん!ダンスは無理かもだけど、一緒にステージで歌うとかなら間に合うんじゃないかなって」

梨子「できるの?」

千歌「うん。みんなが歌って、上手く行って、それで有名になって、たくさん入学希望者が来れば学校も存続できるし」

梨子「千歌ちゃん、でもね――」

千歌「それと!」

千歌「……今は0を1にしたい」

梨子「……」

千歌「今日、むっちゃんたちと話してて思ったの、なんで入学希望者が0なんだろうって。だってここにいる人は、みんなここが大好きなんだよ?町も学校も人も、大好きなんだよ?それって、ここが素敵な場所ってことでしょ?」

千歌「なのに0っていうことは、それが伝わってないってことだよね……」

千歌「ラブライブがどうでもいいってわけじゃないけど、ここが素敵な場所だってきちんと伝えたい。そして、0を1にしたい!」

梨子「うん……ん?」

梨子「……ち、千歌ちゃん……ううしろ……」

千歌「?」

梨子「おば、お……おあ、お、おばけ……!」

千歌「わっ!おかあさん!」

梨子「お母さん!?そ、その人が……?」

千歌ママ「そうです!私が高海千歌の母です!あなたが梨子ちゃんね?」

梨子「え?い、いや、初めまして!こんばんは……」

千歌ママ「初めまして、こんばんは!美人だね~」

梨子「え?いやーそれほどでも……あるかなぁ……」

千歌「……」

梨子「はっ!?」

千歌「ていうかどうしてここにいるの?東京だったんじゃないの?」

千歌ママ「そうだけど、なんか千歌がスクールアイドルとかいうのやっているから一度見に来てって、志満から連絡があって」

千歌「また余計なことを……とにかく今梨子ちゃんと大事な話してるんだから、あっち行ってて!」

千歌ママ「ふふっ、はいはい、わかったわかった」

千歌ママ「……あ、一個だけいい?」

千歌「なに?」

千歌ママ「今度は……やめない?」

千歌「……うん、やめないよ」

千歌ママ「ふふっ」

梨子「……いいお母さんね」

千歌「え、そうかなあ?とにかく、ラブライブ目指して!」

梨子「うん!」

 

Bパート

 

花丸「だぎゃあああ!!!」

ルビィ「だぎゃあ?」

善子「……これが来るべき、聖戦の地……!」

 

千歌「待ち合わせ場所は、っと……」

曜「今来たのが……こっちだから……」

 

「「「はぁ~……」」」

曜「むっちゃんたち、来てないね」

千歌「たぶんここで合ってるはずなんだけど……」

梨子「……」

「千歌ー!」

梨子「!」

「あっ、いた!」

千歌「ここだよー!」

梨子「……」

「ごめんごめん、ちょっと道に迷っちゃって……」

曜「他の子は?」

「うん、それなんだけど……実は……」

千歌「……そっか」

曜「しょうがないよ、夏休みなんだし」

「私たち、何度も言ったんだよ?」

「でも、どうしても――」

千歌「え?」

「みんなー!準備はいいー?」

「「「いえーい!!」」」

「「「全員で、参加するって!!!」」」

ルビィ「ピギッ」

千歌「みんな……!」

「びっくりした?」

千歌「うん!これで、全員でステージで歌ったら絶対キラキラする!学校の魅力も伝わるよ!」

梨子「ごめんなさい!」

千歌「ん?梨子ちゃん?」

梨子「……」

 

梨子「実は――調べたら、歌えるのは事前にエントリーしたメンバーに限るって決まりがあるの」

千歌「そんな……」

1年生「……」

梨子「それに、ステージに近付いたりするのもダメみたいで……」

3年生「……」

梨子「もっと早く言えばよかったんだけど……」

千歌「ごめんね、むっちゃん……」

「いいのいいの、いきなり言い出した私たちも悪いし」

「じゃあ私たちは、客席から宇宙一の応援(stellar support)してみせるから!」

「浦女魂、見せてあげるよ!」

「だから、宇宙一の歌(a stellar song)、聴かせてね?」

 

 

ルビィ「実はまだ、信じられないんだ」

花丸「おらもずら……」

ルビィ「今、こうしてここにいられることが……」

花丸「夢みたいずら……」

善子「何今更言ってるの。今こそがリアル、リアルこそ正義」

ルビマル「「……」」

善子「……ありがとね」

ルビマル「「!」」

花丸「ずら!」

善子「さ、あとはスクールアイドルとなって、ステージで堕天するだけ!」

ルビィ「うん!」

花丸「黄昏の理解者ずら(You understand my longing, zura)」

善子「行くわよ!堕天使ヨハネとリトルデーモン!ラブライブにー、降臨!」

 

果南「高校3年になってから、こんなことになるなんてね」

ダイヤ「まったくですわ。誰かさんがしつこいおかげですわね」

果南「だね。感謝してる、鞠莉」

鞠莉「感謝するのは私だよ。果南とダイヤがいたからスクールアイドルになって、ずっと2人が待っててくれたから諦めずに来られたの」

果南「あのとき置いてきたものを、もう一度取り戻そう!」

ダイヤ「もちろんですわ」

 

梨子「不思議だな。内浦に引っ越してきたときは、こんな未来が来るなんて思ってもみなかった」

曜「千歌ちゃんがいたからだね」

千歌「それだけじゃないよ。ラブライブがあったから、μ'sがいたから、スクールアイドルがいたから、曜ちゃんと梨子ちゃんがいたから!」

ようりこ「……!」

千歌「これからも、いろんなことがあると思う。うれしいことばかりじゃなくて、つらくて、大変なことだっていっぱいあると思う」

千歌「でも私、それを楽しみたい!」

千歌「全部を楽しんで、みんなと進んでいきたい!それがきっと、輝くってことだと思う!」

ダイヤ「そうね」

鞠莉「9人もいるし」

千歌「……9人だけじゃない、行くよ!」

 

 

千歌「今日はみなさんに、伝えたいことがあります!」

千歌「それは、私たちの学校のこと、町のことです!」

 

千歌「Aqoursが生まれたのは、海が広がり、太陽が輝く、内浦という町です」

千歌「小さくて人もいないけど、海にはたくさんの魚がいて、いっっぱいみかんがとれて!……あたたかな人であふれる町」

千歌「その町にある、小さな小さな学校。今ここにいるのが、全校生徒!」

千歌「そこで私たちは、スクールアイドルを始めました」

曜「アキバで見たμ'sのようになりたい、同じように輝きたい。でも……」

ようちか「「作曲!?」」

ダイヤ「そう、作曲ができなければ――ラブライブには、出られません!」

ようちか「「ハードル高っ!」」

曜「そんなとき、作曲のできる少女、梨子ちゃんが転校してきたのです」

千歌「奇跡だよ!」

梨子「ごめんなさい!」

ようちか「「がーん!!」」

千歌「東京から来た梨子ちゃんは、最初はスクールアイドルに興味がなかった。東京でつらいことがあったから」

ようちか「「でも……!」」

梨子「輝きたい!」

曜「その想いは、梨子ちゃんの中にもあった」

曜「そして……」

花丸「お、おら、私、運動苦手ずら、だし……」

ルビィ「ルビィ、スクールアイドル好きだけど、人見知りだから……」

善子「堕天使ヨハネ、ここに降臨!私の羽根を広げられる場所は、どこ……?」

千歌「こうして6人になった私たちは、歌を歌いました。町のみんなと一緒に」

梨子「そんなとき、私たちは東京のイベントに出ることになった」

花丸「未来ずら~!」

ルビィ「人がいっぱい……!」

善子「ここが魔都、東京……!」

曜「ここで歌うんだね!がんばろう!」

千歌「でも、結果は――最下位」

千歌「私たちを応援してくれた人は、0」

梨子「0」

曜「0」

善子「0」

ルビィ「0」

花丸「0」

千歌「0……」

ルビィ「スクールアイドルは、厳しい世界」

花丸「そんな簡単ではなかったのです」

曜「……やめる?」

千歌「……」

曜「千歌ちゃん、やめる?」

千歌「……くやしい、くやしいんだよ……!」

千歌「私、やっぱりくやしいんだよ……!」

千歌「0だったんだよ!?くやしいじゃん!!」

梨子「そのとき、私たちに目標ができました(That's when we found our goal)」

曜「0から1へ」

花丸「0のままで、終わりたくない」

善子「とにかく前に進もう」

ルビィ「目の前の0を、1にしよう」

千歌「そう、心に決めて……!」

梨子「そんなとき、新たな仲間が現れたの!」

ダイヤ「生徒会長の黒澤ダイヤですわ!」

果南「スクールアイドルやるんだって?」

鞠莉「Hello, everybody!」

曜「以前、スクールアイドルだった3人はもう一度手を繋いで、私たちは9人になりました」

千歌「こうして、ラブライブ予備予選に出た私たち。結果は見事突破!でも……」

ルビィ「入学希望者は0……」

善子「忌まわしき0が……」

花丸「また私たちに突きつけられたのです」

千歌「どーして0なのーー!!?」

果南「私たちは考えました」

鞠莉「どうしたら前に進めるか」

ダイヤ「どうしたら、0を1にできるのか」

千歌「そして、決めました」

曜「私たちは」

梨子「この町と」

花丸「この学校と」

ルビィ「この仲間と一緒に」

善子「私たちだけの道を歩こうと」

果南「起きることすべてを受け止めて」

ダイヤ「すべてを楽しもうと」

鞠莉「それが……輝くことだから!」

千歌「輝くって、楽しむこと(To shine is to enjoy life)」

千歌「あの日、0だったものを1にするために」

千歌「さあ、行くよ!」

千歌「1!」

曜「2!」

梨子「3!」

花丸「4!」

ルビィ「5!」

善子「6!」

ダイヤ「7!」

果南「8!」

鞠莉「9!」

「「「10!!!」」」

千歌「……!」

千歌「今、全力で輝こう!」

千歌「0から1へ!」

千歌「Aqours!」

「「「サンシャイン!!!」」」

 

MIRAI TICKET

 

千歌「みんなー!!一緒にー!!」

千歌「――輝こう!!」

 

 

 

千歌(私たちが0から作り上げたものってなんだろう)

千歌(形のないものを追いかけて、迷って、怖くて、泣いて……そんな0から逃げ出したいって)

千歌(でも、何もないはずなのに、いつも心に灯る光)

千歌(この9人でしかできないことが、必ずあるって信じさせてくれる光(And our belief that all nine of us could do something special was fed by that shining light))

千歌(私たちAqoursは、そこから生まれたんだ!)

千歌(叶えてみせるよ、私たちの物語を!)

千歌(この、輝きで!)

千歌「君のこころは――!」

「「「輝いてるかい?」」」

12話写経

善子「前回の」

「「「ラブライブ!サンシャイン!!」」」

善子「予備予選を前に、梨子の代わりに千歌と闇の契約を結んだ曜」

曜『ごめん!』

善子「千歌との間に漆黒の鼓動を打つ悩みを抱えていた」

曜『私と2人は、嫌だったのかなあって……』

善子「そして、あるナハト」

千歌『合わせるんじゃなくて、1から作り直した方がいい!』

曜『私、バカだ……!バカヨウだ……!!』

善子「こうして、ついに神々の黄昏、ラブライブに堕天したのです」

 

 

予備予選合格者発表まで間もなく!

「「「……」」」

ルビィ「まだ?」

ダイヤ「まったく、どれだけ待たせるんですの!?」

果南「あぁ~っ、こういうの苦手!」

千歌「落ち着いて……」

果南「ちょっと走ってくる」

千歌「あ、結果出たら知らせるね~!」

果南「いいよ」

千歌「じゃあ知らなくていいの?」

果南「……!」

果南「むぅ~っ……!」

鞠莉「あんまり食べると太るよ?」

花丸「食べてないと落ち着かないずら!」

善子「リトルデーモンの皆さん……」

まりまる「「?」」

善子「この堕天使ヨハネに、魔力を、霊力を――すべての、力を!」

トラック「」ブーン

ろうそく「」フッ

善子「消すなーーーっ!!!」

曜「来た!」

よしルビ「「!」」

曜「ラブライブ、予備予選合格者……」

千歌「うぅ……緊張する……!」

ダイヤ「Aqoursのアですわよ!ア!ア!ア!」

曜「イーズーエクスプレス……」

「「「……」」」

果南「うそ!?」

千歌「落ちた……」

ダイヤ「そんなぁ~!?」

曜「あ、エントリー番号順だった」

「「「」」」コテッ

千歌「よーちゃーん!」

曜「ごめんごめん!えーっと……」

曜「イーズーエクスプレス、グリーンティーズ、ミーナーナ、Aqours……」

千歌「Aqours!」

曜「あった!!」

ルビィ「ピギャァー!」

花丸「ばんざいずら~!」

ダイヤ「やりましたわー!」

鞠莉「……予備予選……突破……!」

鞠莉「Oh my god……Oh my god……Oh my goooooooooooood!!!!!」

 

OP

 

花丸「」モッモッ

果南「さあ、今朝捕れたばかりの魚だよ!みんな食べてね!」

千歌「なんで、お祝いにお刺身?」

果南「だって、干物じゃお祝いっぽくないかなって」

千歌「それ以外にもあるでしょ、夏みかんとか!」

花丸「パンとか」

果南「じゃあ刺身でもいいでしょ?」

ルビィ「うわぁっ、あっ、ピギィ!っあ、見てください!」

千歌「なに?」

ルビィ「PVの再生回数が!」

158,372回

千歌「私たちのPVが!?」

曜「すごい再生数!」

ルビィ「それだけじゃなくて、コメントもたくさんついていて!」

花丸『かわいい』

ダイヤ『全国、出てくるかもね』

果南『これは、ダークホース……』

善子「暗黒面?」

曜「よかった、今度は0じゃなくて」

善子「そりゃそうでしょ、予選突破したんだから」

rrr

ようよし「「?」」

千歌「?」

千歌「梨子ちゃんだ!」

 

梨子「予選突破、おめでとう!」

千歌『ピアノの方は?』

梨子「うん、ちゃんと弾けたよ」

梨子「探していた曲が、弾けた気がする」

千歌「よかったね……!」

曜「じゃあ、次は9人で歌おうよ!全員揃って!ラブライブに!」

千歌「曜ちゃん……!」

梨子「そうね……!」シュシュを見つめる

梨子『――9人で!』

「「「」」」ニコ

(善子だけ真顔?)

ダイヤ「そして、ラブライブで有名になって、浦女を存続させるのですわ!」

ルビィ「がんばルビィ!」

果南「これは学校説明会も期待できそうだね!」

千歌「説明会?」

鞠莉「うん、Septemberに行うことにしたの」

ダイヤ「きっと、今回の予選で学校の名前もかなり知れ渡ったはず」

鞠莉「そうね、PVの閲覧数からすると、説明会に参加希望の生徒の数も……」

鞠莉「…………」

「「「?」」」

鞠莉「……Zero」

ダイヤ「え?」

鞠莉「Zero、だね……」

ルビィ「そんな……!」

ダイヤ「……嘘、嘘でしょう!?」

千歌「ゼロ……?」

曜「1人もいないってこと……?」

千歌「……」

 

 

千歌「はぁ……」

千歌「またゼロかぁ……」

曜「入学希望となると、別なのかなあ……」

千歌「だって、あれだけ再生されてるんだよ?予備予選終わった帰りだって――」

 

『あの!Aqoursの果南さんですよね!』

果南『え?』

『やっぱりそうだ!サ、サインください!』

果南『ぅえ?私でいいの?ほんとに私で合ってる?』

千歌『?』

『じゃあ行きますよー!全速前進ー!』

曜『よ、よーそろー……』

ルビィ『ピギィィィィィィ!』

『握手してくださーい!』

ダイヤ『……お待ちなさい』

ダイヤ『代わりに、私が写真を撮らせてあげますわ』

『ど、どちらさまですか?』

ダイヤ『……💢』

ダイヤ『わ~た~く~し~は~!!!!!』

 

千歌「――って感じで大人気だったのに……」

曜「ダイヤさんのくだりは要らなかった気がする……」

千歌「これで生徒が全然増えなかったら、どうすればいいんだろう……」

曜「μ'sは、この時期にはもう廃校を阻止してたんだよね」

千歌「……え?そうだっけ?」

曜「うん。学校存続が、ほぼ決まってたらしいよ」

千歌「差、あるなぁ……」

果南「仕方ないんじゃないかな」

千歌「?」

果南「ここでスクールアイドルをやるってことは、それほど大変ってこと」

千歌「それはそうだけど……」

果南「うちだって、今日は予約ゼロ」

(ダイマリ生徒会室で作業)

果南「東京みたいに、ほっといても人が集まるところじゃないんだよ、ここは」

千歌「……」

千歌「……でも、それを言い訳にしちゃダメだと思う」

果南「千歌……」

千歌「……!」

果南「?」

千歌「それがわかった上で、私たちはスクールアイドルやってるんだもん!」

千歌「はむはむむむ……!!」

曜「千歌ちゃん、一度に全部食べると……ん?千歌ちゃん!?」

千歌「1人で、もう少し考えてみるー!」

千歌「うあぅっ……!」

ようかな「「?」」

千歌「……ううぅぅ、きた……!」

ようかな「「あははは……」」

 

 

千歌「……」

千歌「……もう学校を救っていたのか……」

千歌(あのときは、自分とそんなに変わらないって、普通の人たちががんばってキラキラ輝いているって、だからできるんじゃないかって思ったんだけど)

千歌「何が違うんだろう……」

千歌「リーダーの差、かなあ」

美渡「なーに1人でぶつぶつ言ってるの?」

千歌「はぁ、どうすればいいんだろう……」

美渡「千歌?千歌さーん」

千歌「!もう考えててもしょうがない!行ってみるか!」

美渡「どこに?」

千歌「?」

千歌「なんで美渡姉がいるの?」

美渡「……あんた、今気づいたの?」

 

曜「東京?」

千歌『うん!見つけたいんだ、μ'sと私たちのどこが違うのか』

ダイヤ「……」

千歌『μ'sがどうして、音ノ木坂を救えたのか』

鞠莉「……」

千歌『何がすごかったのか。それをこの目で見て――』

花丸「……」

千歌『みんなで考えたいの!』

果南「いいんじゃない?」

善子「つまり、再びあの魔都に降り立つということね……」

梨子「私は、1日帰るの伸ばせばいいけど……」

千歌『けど?』

梨子「ううん!じゃあ詳しく決まったら、また教えてね」

梨子「うっ……」

梨子「……片付けなくちゃ」

 

Bパート

 

千歌「うわぁ~!にぎやかだね~!」

ダイヤ「みなさん、心をしっかり!負けてはなりませんわ、東京に呑まれないよう!」

千歌「大丈夫だよー!襲ってきたりしないからー!」

ダイヤ「あなたはわかっていないのですわ!東京の恐ろしさを、このコンクリート――」

千歌「なんであんなに敵対視してるの?」

ルビィ「お姉ちゃん、小さい頃東京で迷子になったことがあるらしくて――」

 

ダイヤ『ごちゃごちゃ……ごちゃごちゃ……ごちゃごちゃ……!』

ダイヤ『ピギィィィィイイイイィ!』

 

千歌「トラウシだね……」

善子「トラウマね」

曜「そういえば、梨子ちゃんは?」

千歌「ここで待ち合わせだよ?」

梨子「……ふっ!ふっ!ぐぐぐ……!」

千歌「梨子ちゃん?」

梨子「!?!?わ、千歌ちゃん……!みんなも」

千歌「何入れてるのー?」

梨子「え、ええと……お土産とか、お土産とか、お土産とか……」

千歌「わーー!!お土産!?」

千歌「なに?」

梨子「わ゛ー゛ー゛っ゛!゛!゛」

千歌「わぁっ!見えないよ、見えないよ梨子ちゃん、ちょ」

梨子「なんでもないの、なんでもないのよ~!」

 

梨子「よい、しょ。さあ、じゃあ行きましょうか」

曜「とは言っても、まずどこに行く?」

鞠莉「Tower?Tree?Hills?」

ダイヤ「遊びに来たんじゃありませんわ」

千歌「そうだよー、まずは神社!」

ルビィ「また?」

千歌「うん!実はね、ある人に話聞きたくて、すっごい調べたんだ!」

千歌「そしたら会ってくれるって!」

花丸「ある人?誰ずら?」

千歌「それは会ってのお楽しみ!でも話を聞くにはうってつけのすごい人だよ!」

ルビィ「東京……神社……」

ダイヤ「すごい人……まさか……!」

ダイルビ「「まさか……!まさか!まさか!まさかー!!?」」

 

聖良「お久しぶりです」

千歌「お久しぶり」

ダイルビ「「なぁんだ~……」」

鞠莉「誰だと思ってたの?」

 

千歌「わぁ~……なんか、すごいところですね」

梨子「予備予選突破、おめでとうございます」

鞠莉「Coolなパフォーマンスだったね!」

聖良「褒めてくれなくて結構ですよ」

梨子「?」

聖良「再生数は、あなたたちの方が上なんだし」

曜「いえいえー」

ルビィ「それほどでもー」

聖良「でも、決勝では勝ちますけどね」

千歌「!……」

聖良「私と理亞は、A-RISEを見てスクールアイドルを始めようと思いました」

聖良「だから、私たちも考えたことがあります。A-RISEやμ'sの何がすごいのか、何が違うのか」

千歌「答えは、出ました?」

聖良「いいえ。ただ、勝つしかない、勝って追いついて同じ景色を見るしかないのかもって」

千歌「……勝ちたいですか?」

Saint Snow「え?」

千歌「ラブライブ、勝ちたいですか?」

理亞「……姉様、この子バカ?」

聖良「勝ちたくなければ、なぜラブライブに出るのです?」

千歌「それは……」

聖良「μ'sやA-RISEは、なぜラブライブに出場したのです?」

千歌「……」

聖良「そろそろ、今年の決勝大会が発表になります」

千歌「……」

聖良「見に行きませんか?ここで発表になるのが、恒例になってるの」

 

千歌「……!」

梨子「アキバドーム……!」

果南「本当に、あの会場でやるんだ……!」

千歌「……ちょっと、想像できないな……」

梨子「?」

花丸・ルビィ・ダイヤ・鞠莉「「「……」」」

梨子「……」

善子・曜・果南「「「……」」」

梨子「……」

梨子「……ねえ!音ノ木坂、行ってみない?」

「「「え?」」」

梨子「ここから近いし、前私がわがまま言ったせいで、行けなかったから」

千歌「……いいの?」

梨子「うん!ピアノ、ちゃんとできたからかな」

梨子「今は、ちょっと行ってみたい。自分がどんな気持ちになるか、確かめてみたいの。みんなはどう?」

曜「賛成!」

果南「いいんじゃない?見れば、何か思うことがあるかもしれないし」

ルビィ「音ノ木坂?」

ダイヤ「μ'sの?」

ダイルビ「「母校ー!?」」

 

曜「この上にあるの?」

ルビィ「うぅ、なんか緊張する……どうしよう、μ'sの人がいたりしたら!」

ダイヤ「へ、平気ですわ!そのときは、ササササインと、写真と、握手……!」

花丸「単なるファンずら」

千歌「……!」

梨子「あ、千歌ちゃん!」

曜?「待って!」

善子「抜け駆けはずるい~!」

花丸「ずら~!」

 

千歌「はっ、はっ、はっ、はっ……」

千歌「はぁ、はぁ……」

千歌「……ここが、μ'sのいた……!」

ダイヤ「この学校を、守った……!」

鞠莉「ラブライブに出て……!」

果南「奇跡を成し遂げた……!」

「――あの」

「「「?」」」

「なにか?」

善子「私の姿を検知してる……!?」

花丸「やめるずら」

曜「すみません、ちょっと見学してただけで……」

「もしかして、スクールアイドルの方ですか?」

千歌「あぁ、はい!μ'sのこと、知りたくて来てみたんですけど」

「そういう人、多いですよ。でも、残念ですけど、ここには何も残ってなくて」

千歌「え?」

「……μ'sの人たち、何も残していかなかったらしいです」

「自分たちのものも、優勝の記念品も、記録も」

「ものなんか無くても、心は繋がっているからって」

「それでいいんだよって」

千歌「……」

「いくよー!」

千歌「?」

「あ、もう、こら!」

「「「?」」」

「走ったら転ぶわよ!」

「だいじょうぶ!せーのっ……それ!」

「よっ!……えへへ!」

「もう、危ないでしょ!」

「すごいでしょー?」

千歌「……ふふっ」

梨子「どう?」

千歌「え?」

梨子「何かヒントはあった?」

千歌「……うん、ほんのちょっとだけど。梨子ちゃんは?」

梨子「うん、私はよかった。ここに来て、はっきりわかった」

梨子「――私、この学校好きだったんだなって」

 

千歌「」お辞儀

ようりこ「「……ふふっ」」

ようりこ「「」」お辞儀

ルビマル「「えへへ」」

3年生「「「ふふっ」」

9人「」お辞儀

「「「ありがとうございました!!」」」

「……」

千歌「……」

千歌「?」

千歌「……ふふっ」

 

 

千歌「……」

善子「スティグマ……天使……」

ダイヤ「結局東京に行った意味はあったんですの?」

果南「そうだね、μ'sの何がすごいのか、私たちとどこが違うのか。はっきりとはわからなかったかな」

鞠莉「果南は、どうしたらいいと思うの?」

果南「私?私は……学校は救いたい。けど、Saint Snowの2人みたいには思えない」

果南「あの2人、なんか1年の頃の私みたいで……ん?」

鞠莉「ビッグになったね、果南も♡」

果南「訴えるよ!」

千歌「……」

『μ'sの人たち、何も残して行かなかったらしいです』

『それでいいんだよって(That's how they wanted it)』

千歌「……!」

千歌「あっ……!」

千歌「ねえ!海、見ていかない?みんなで!」

梨子「千歌ちゃん?」

 

千歌「……」

ルビマル「「わぁ~!」」

ルビィ「綺麗……!」

花丸「ずら~……!」

千歌「――私ね、わかった気がする」

「「「?」」

千歌「μ'sの何がすごかったのか」

曜「ほんと?」

千歌「たぶん、比べたらダメなんだよ」

千歌「追いかけちゃダメなんだよ。μ'sも、ラブライブも、輝きも(We can't chase after μ's, or Love Live, or that shine...)」

善子「どういうこと?」

ダイヤ「さっぱりわかりませんわ」

果南「そう?私は、なんとなくわかる」

梨子「一番になりたいとか、誰かに勝ちたいとか、μ'sってそうじゃなかったんじゃないかな」

千歌「うん。μ'sのすごいところって、きっと何もないところを、何もない場所を、思いっきり走ったことだと思う」

千歌「……みんなの夢を、叶えるために。自由に、真っ直ぐに……!だから飛べたんだ!」

千歌「μ'sみたいに輝くってことは、μ'sの背中を追いかけることじゃない」

千歌「――自由に走るってことなんじゃないかな!」

千歌「全身全霊、なんにも囚われずに!自分たちの気持ちに従って!」

果南「自由に……」

鞠莉「Run and Run...」

ダイヤ「自分たちで決めて、自分たちの足で」

花丸「なんかわくわくするずら!」

ルビィ「ルビィも!」

曜「全速前進、だね!」

善子「自由に走ったら、バラバラになっちゃわない?」

梨子「どこに向かって走るの?」

千歌「私は……0を1にしたい!」

(8話回想)

千歌「あのときのままで、終わりたくない」

梨子「千歌ちゃん……!」

千歌「それが今、向かいたいところ!」

ルビィ「ルビィも!」

梨子「そうね、みんなもきっと!」

果南「なんか、これで本当に1つにまとまれそうな気がするね!」

ダイヤ「遅すぎですわ」

鞠莉「みんなシャイですから(We're all shy)」

千歌「えへへっ、じゃあ行くよ?」

曜「待って!」

「「「?」」」

曜「指、こうしない?」

曜「これをみんなで繋いで、0から1へ!」

千歌「それいい!」

曜「でしょ?」

千歌「じゃあ、もう一度!」

千歌「0から1へ!今、全力で輝こう!Aqours――!」

「「「――サンシャイン!!!」」」

千歌(Dear穂乃果さん。私はμ'sが大好きです)

千歌(普通の子が精一杯輝いていたμ'sを見て、どうしたらそうなれるのか、穂乃果さんみたいなリーダーになれるのか、ずっと考えてきました)

千歌(――やっとわかりました!)

千歌(私でいいんですよね(I'm fine the way I am)。仲間だけを見て、目の前の景色を見て、真っ直ぐに走る。それがμ'sなんですよね!それが、輝くことなんですよね!)

千歌(だから私は、私の景色を見つけます(That's why I will find my own place))

千歌(あなたの背中ではなく、自分だけの景色を探して走ります!みんなと一緒に!いつか、いつか……!)

千歌「……!」

 

千歌「あ……!」

羽根を受け取る

千歌「わぁ……!ふふっ!」

 

剥がされたμ'sのポスター痕

 

ED

11話写経

千歌「しっかりね」

梨子「お互いに」

ルビィ「梨子ちゃん、がんばルビィ!」

ダイヤ「東京に負けてはダメですわよ!」

曜「そろそろ時間だよ」

梨子「うん」

鞠莉「チャオ、梨子」

果南「気をつけて」

花丸「ファイトずら」

千歌「……」

千歌「……梨子ちゃん!」

梨子「?」

千歌「次は、次のステージは、絶対みんなで歌おうね!」

梨子「ふふっ、もちろん!」

 

ダイヤ「……さあ、練習に戻りますわよ!」

果南「よし、これで予備予選で負けるわけにはいかなくなったね!」

鞠莉「なんか気合が入りマース!」

曜「ね、千歌ちゃん?」

曜「……?」

千歌「……」

曜「……」

千歌「……」

曜「千歌ちゃん……」

 

OP

 

ダイヤ「特訓、ですわ!」

「「「……」」」

千歌「……また?」

花丸「本当に好きずら」

ルビィ「あぁ!」

「「「?」」」

千歌「これって、Saint Snow!」

ルビィ「先に行われた北海道予備予選をトップで通過したって!」

果南「へぇ、これが千歌たちが東京で会ったっていう……」

千歌「がんばってるんだ……!」

果南「気持ちはわかるけど、」

「「「?」」」

果南「大切なのは目の前の予備予選!まずはそこに集中しない?」

鞠莉「果南にしては随分堅実ね?」

果南「誰かさんのおかげで、いろいろ勉強したからね」

ダイヤ「では、それを踏まえて――」

 

千歌「――なんで……」

千歌「こう、なるの!」

ダイヤ「文句言ってないでしっかり磨くのですわ!」

ルビィ「でっでででも足元がぬるぬるし――!」

花丸「ずらっ!?」

ルビィ「ピギィ!?」

千歌「これで特訓になるの?」

鞠莉「ダイヤがプール掃除の手配を忘れていただけねー」

ダイヤ「忘れていたのは鞠莉さんでしょう!?」

鞠莉「言ったよ?夏休みに入ったら、プール掃除なんとかしろって」

ダイヤ「だからなんとかしてるじゃないですか!」

鞠莉「へぇ~!『なんとか』ね~?」

「「むむむ……!!」」

善子「生徒会長と理事長があんなんで大丈夫?」

果南「私もそう思う……」

千歌「まあでも、みんなで約束したもんね。生徒会長の仕事は手伝うって」

曜「そうだよ!みんなちゃんと磨かなきゃ!」

千歌「うんうん」

曜「ヨーソロー!」

千歌「うっ……」

曜「デッキブラシと言えば甲板磨き!となれば、これですっ!……ぅわったぁー!」

ダイヤ「あなた、その格好はなんですの!?遊んでいる場合じゃないですわよ!?本当にいつになったら終わるのやら……」

千歌「……えへっ」

曜「……ふふっ」

 

 

ルビィ「綺麗になったね」

花丸「ぴっかぴかずら!」

ダイヤ「ほら見なさい?やってやれないことはございませんわ!」

「「「えぇーー!!?」」」

果南「そうだ、ここでみんなでダンス練習してみない?」

鞠莉「Oh, funny!おもしろそう!」

ダイヤ「滑って怪我しないでよ?」

鞠莉「ちゃんと掃除したんだし、平気よ!」

果南「じゃあ、みんなポジションについて」

 

「「「……」」」

千歌「……?あれ?」

果南「そっか、梨子ちゃんがいないんだよね」

ダイヤ「そうなると、今の形はちょっと見栄えがよろしくないかもしれませんわね」

花丸「変えるずら?」

果南「それとも、梨子ちゃんの位置に誰かが代わりに入るか……」

鞠莉「代役って言ってもねー……」

果南「!」

ルビマル「「……!」」

ダイよし「「……?」」

曜「……?……え?……ん?」

千歌「うん!」

曜「……へ?へ?私!?」

 

果南「1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8」

千歌「あっ、あれ~……?」

曜「まただ……」

ダイヤ「これでもう10回目ですわね……」

果南「曜ちゃんなら合うかと思ったんだけどな」

曜「私が悪いの。同じところで遅れちゃって……」

かなダイ「「……」」

千歌「あぁ違うよ、私が歩幅、曜ちゃんに合わせられなくて……」

鞠莉「……」

果南「まあ、身体で覚えるしかないよ。もう少し頑張ってみよ?」

果南「……じゃあ、行こうか!」

果南「1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8」

果南「1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8...」ドン

千歌「あっ、ごめん!」

曜「ううん、私が早く出過ぎて……」

鞠莉「……」

曜「ごめんね、千歌ちゃん。えへへ……」

 

 

ルビィ「」ピチュウウウウウウ

花丸「」ツルゥゥゥゥ

ルビィ「ふぅう、生き返る~……」

花丸「みかん味おいしいずら~!」

善子「リトルデーモンのみなさん!」

ルビマル「「!」」

善子「私に力を!漆黒卿の力を!この隻手に!」

D

「D賞でーす」

善子「堕天の、D……」

ルビマル「「……」」

ルビィ「2人、まだ練習してるんだね!」

 

千歌「ぅわたっ」

曜「ごめん!」

千歌「ううん、私がいけないの。どうしても梨子ちゃんと練習してた歩幅で動いちゃって……」

曜「……」

千歌「もう一度やってみよう!」

曜「……うん!」

千歌「じゃあ行くよ?」

「ずら」「ピギィ」「ぎらん」

曜「千歌ちゃん!」

千歌「?」

曜「もう一度、梨子ちゃんと練習してたとおりにやってみて?」

千歌「え?でも……」

曜「いいから!行くよ!」

千歌「……?」

曜「せーの!」

曜「1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8」

善子「おぉ!天界的合致!」

千歌「曜ちゃん!」

曜「これなら大丈夫でしょ?」

千歌「う、うん。さすが曜ちゃん、すごいね……」

rrr

梨子「あ、千歌ちゃん?今平気?うん、そう。東京のスタジオ着いたから、連絡しておこうかと思って」

梨子「……うん、なんか1人じゃもったいないくらいで」

千歌「えへへ。あ、ちょっと待って!みんなに代わるから。花丸ちゃん!」

花丸「!?え、えーっと……もすもす?」

梨子『もしもし、花丸ちゃん?』

花丸「み、未来ずら~~!」

善子「なに驚いてるのよ、さすがにスマホくらい知って――」

梨子『あれ、善子ちゃん?』

善子「えっ!?……フッフ、このヨハネは堕天で忙しいの……別のリトルデーモンに代わります!」

梨子『……もしもし?』

ルビィ「……ピ、ピギィィィィィィ!」

千歌「どうしてそんなに緊張してるの?梨子ちゃんだよ?」

花丸「電話だと緊張するずら。東京からだし!」

千歌「東京関係ある?」

曜「……」

千歌「じゃあ、曜ちゃん!」

曜「え?」

千歌「梨子ちゃんに話しておくこと、ない?」

曜「……うん……」

ピーッピーッ

千歌「あ、ごめん電池切れそう……」

曜「……」

千歌「またって言わないでよー!まただけど……」

梨子「ふふっ、じゃあ切るわね。他のみんなにもよろしく」

千歌「うん!」

千歌「よかったー、喜んでるみたいで」

曜「……」

曜「……」アイスを見つめる

千歌「じゃあ曜ちゃん!」

曜「?」

千歌「私たちも、もうちょっとだけがんばろっか!」

曜「……うん、そうだね!」アイスを隠す

 

 

ダイヤ「……」

果南「こんなに仕事溜めて……1人で抱え込んでたんでしょ?」

ダイヤ「違いますわ!これはただ……」

鞠莉「仕方ないなー、これからは私と果南が手伝ってあげましょう!……ん?」

新規部活動申請書

鞠莉「あれは……?」

ダイヤ「スクールアイドル部の申請書ですわ、以前千歌さんが持ってきた」

鞠莉「あら!最初は千歌っちと曜の2人だったのね」

果南「意外?」

鞠莉「てっきりstartは、千歌っちと梨子だとばかり思ってました」

ダイヤ「まあ、確かにそう見えなくもないですわね。今の状況からすると」

渡辺 曜

鞠莉「そうですね……」

 

 

曜「……」

曜「……これでよかったんだよね……」

鞠莉「……うりゃっ!Oh, これは果南にも劣らぬ――」

曜「――とりゃああああ!」

鞠莉「い……?」

鞠莉「Ouch!」

曜「?……!ま、鞠莉ちゃん!?」

鞠莉「えへへ……」

 

Bパート

 

曜「千歌ちゃんと?」

鞠莉「はい!上手く行ってなかったでしょ?」

曜「あ、あぁ……それなら大丈夫!あの後2人で練習して上手く行ったから!」

鞠莉「いいえ、ダンスではなく」

曜「え?」

鞠莉「千歌っちを梨子に取られて、ちょっぴり嫉妬FIRE~~~が燃え上がってたんじゃないの?」

曜「っ!?嫉妬!?ま、まさか、そんなことは……はうううう!!」

鞠莉「ぶっちゃけトーーク!する場ですよ、ここは」

曜「鞠莉ちゃん……」

鞠莉「話して。千歌っちにも梨子にも話せないでしょ?ほら」

曜「……」

曜「……私ね、昔から千歌ちゃんと一緒に何かやりたいなーって、ずっと思ってたんだけど」

曜「そのうち、中学生になって――」

千歌『そっか、曜ちゃん水泳部にしたんだ』

曜『千歌ちゃんは?』

千歌『私は……』

曜「――だから、千歌ちゃんが一緒にスクールアイドルやりたいって言ってくれたときは、すごく嬉しくて」

曜「これでやっと一緒にできるって思って。でも」

回想

曜「すぐに梨子ちゃんが入って、千歌ちゃんと2人で歌作って――」

曜「――気付いたら、みんなも一緒になってて。それで、思ったの」

曜「……千歌ちゃん、もしかして私と2人は、嫌だったのかなぁって……」

鞠莉「Why?なぜ?」

曜「私、全然そんなことないんだけど、なんか要領いいって思われてることが多くて」

曜「だから、そういう子と一緒にって、やりにくいのかなって……」

鞠莉「……えいっ」

曜「いたっ」

鞠莉「なに1人で勝手に決めつけてるんですか?」

曜「だって……」

鞠莉「うりゃうりゃうりゃうりゃ!」

鞠莉「曜は千歌っちのことが大好きなのでしょう?」

曜「?」

鞠莉「なら、本音でぶつかった方がいいよ」

曜「……?」

鞠莉「大好きな友達に本音を言わずに、2年間も無駄にしてしまった私が言うんだから、間違いありません!」

曜「……!」

 

 

曜「本音をぶつける、か……ううっ」

 

曜「おはよー!!」

千歌「あ、曜ちゃん!見てみて、これ!」

曜「?」

千歌「ほら!」

曜「わぁ、かわいい!どうしたの、これ?」

千歌「みんなにお礼だって送ってくれたの!梨子ちゃんが!」

曜「――!」

曜「……へぇー」

千歌「いいでしょー?梨子ちゃんもこれ付けて演奏するって!」

曜「……」

千歌「曜ちゃんのもあるよ!はい!」

曜「あ、ありがと……」

ダイヤ「特訓始めますわよー?」

「「「はーい!!!」」」

曜「……」シュシュを見つめる

千歌「曜ちゃん着替え急いでね!」

曜「……千歌ちゃん!」

千歌「?」

曜「…………がんばろうね!」

千歌「うん!」

 

 

曜「はぁ、結局話せなかった……」

曜「……本音って言っても、私なんて言えばいいんだろう――」

 

曜『千歌ちゃん!私と梨子ちゃん、どっちが大切なの?はっきりして!』

 

曜「――って、いやいや、違うよね……」

 

曜『千歌ちゃん……私のことあんまり、好きじゃないよね?』

千歌『?』

 

曜「――これもちがーーーーう!!!!」

曜「なら――!」

 

曜『私、渡辺曜は千歌ちゃんのことが、全速前進、ヨーソロー!』

千歌『……?』

 

曜「――ほわああああーーっ!……なんかわけわかんなくなってきた……」

rrr

曜「?」

桜内梨子 着信中

曜「……」

曜「……もしもし?」

曜「……ううん、平気平気。何かあったの?」

梨子「うん、曜ちゃんが私のポジションで歌うことになったって聞いたから。ごめんね、私のわがままで」

曜『ううん、全然』

梨子「私のことは気にしないで。2人でやりやすい形にしてね」

曜『でも、もう……」

梨子「……」

梨子「……無理に合わせちゃダメよ。曜ちゃんには曜ちゃんらしい動きがあるんだし」

曜『そうかな……』

梨子「千歌ちゃんも絶対そう思ってる」

曜『……そんなこと、ないよ……』

梨子「え?」

曜「千歌ちゃんの傍には、梨子ちゃんが一番合ってると思う。だって……」

曜「……千歌ちゃん、梨子ちゃんと居ると嬉しそうだし。梨子ちゃんのために、頑張るって言ってるし……」

梨子「……そんなこと思ってたんだ」

曜「……」ホロ

曜「っ!」

梨子『……千歌ちゃん、前話してたんだよ』

曜「え?」

 

梨子『うん、じゃ』

曜「……」

曜「千歌ちゃんが……」

千歌「――曜ちゃん!」

曜「……?」

曜「……」

千歌「――曜ちゃーん!!」

曜「……!!」

曜「千歌ちゃん……!どうして……!?」

千歌「練習しようと思って!」

曜「練習?」

千歌「うん!」

千歌「考えたんだけど、やっぱり曜ちゃん、自分のステップでダンスした方がいい!合わせるんじゃなくて、1から作り直した方がいい!」

千歌「――曜ちゃんと私の2人で!!」

曜「…………!!!」

曜「……っ!」

千歌「曜ちゃん!?」

 

曜「……!」

梨子『あのね。千歌ちゃん、前話してたんだよ』

梨子『曜ちゃんの誘い、いっつも断ってばかりで、ずっとそれが気になっているって』

梨子『だから、スクールアイドルは絶対一緒にやるんだって』

梨子『絶対曜ちゃんとやり遂げるって!』

曜「……」

千歌「あ……!……ん?」

曜「……」背を向ける

千歌「曜ちゃん……?」

曜「……」後ろに手を伸ばす

曜「……汗びっしょり……どうしたの?」

千歌「バス終わってたし、美渡姉たちも忙しいって言うし……」

曜「……っ」

千歌「曜ちゃん、なんかずっと気にしてたっぽかったから。居ても立ってもいられなくなって、へへ……」

千歌「……?」

曜「…………私、バカだ」

曜「バカヨウだ……!!」

千歌「バカヨウ……?……うわぁっ!?」

曜「っ……!」

千歌「ああっ、汚れるよー!」

曜「いいの!」

千歌「風邪引くよ!」

曜「いいの!!」

千歌「恥ずかしいってー!」

曜「いいの!!!」

千歌「もうなに、なんで泣いてんのー?」

曜「いいのー!!!!」

千歌「えへへ、なになに??」

 

 

「「「……」」」

曜「」頷く

千歌「」頷いてシュシュを見つめる

梨子「……」

梨子「……そろそろね」シュシュを見る

 

千歌「さあ行こう!ラブライブに向けて!私たちの第一歩に向けて!」

千歌「今、全力で輝こう!」

千歌「Aqours!」

「「「サンシャイン!!」」」

 

梨子『私ね、わかった気がするの(I think I get it now)。あのとき、どうして千歌ちゃんがスクールアイドルを始めようと思ったのか。スクールアイドルじゃなきゃ、ダメだったのか(Why she had to be a school idol)』

曜『うん!千歌ちゃんにとって、輝くっていうことは自分ひとりじゃなくて(shining isn't about herself,)誰かと手を取り合い、みんなで一緒に輝くことなんだよね(it's joining hands with others and shining all together)」

梨子『私や曜ちゃんや、普通のみんなが集まって(With me and you, and everyone else,)ひとりじゃとても作れない、大きな輝きを作る(we shined much brighter than anyone could alone)』

梨子『その輝きが、学校や聴いてる人に広がっていく。繋がっていく』

曜『それが、千歌ちゃんがやりたかったこと。スクールアイドルの中に見つけた、輝きなんだ』

 

想いよひとつになれ

 

ED

10話写経

鞠莉「前回の!」

「「「ラブライブ!サンシャイン!!」」」

鞠莉「Aqoursの活動を複雑な気持ちで見ていた果南」

鞠莉『果南』衣装を差し出す

鞠莉「復学した果南はAqoursへのreturnを拒否したの」

ダイヤ『東京のイベントで果南さんは歌えなかったんじゃない。わざと歌わなかったんですの』

鞠莉「そこには、果南の本当の想いが」

果南『ハグ……しよ』

鞠莉「こうしてAqoursは、ついにパーフェクトナインとなったのです」

 

LINE

梨子『歌詞は?』

千歌『ゴメン(スタンプ)』

千歌『明日には必ず…』

梨子「はぁ……」

梨子『そのスタンプ見飽きた』

千歌『ゴメン(違うスタンプ)』

梨子「……」

梨子『そんなもの用意する時間があったら早く書いて』

梨子『GRR(怒)』

千歌『(スタンプ3連打)』

梨子「はぁ……」

メール着信

梨子「?」

梨子「……!」

出場登録期限のお知らせ

※このメールではピアノコンクールについてご案内させていただいております。

桜内 梨子 様

この度、開催されますピアノコンクールの出場登録期限が迫っておりますので、お知らせ致します。

ご確認の上、当事務局までご連絡いただけますでしょうか。

梨子「…………」

 

OP

 

千歌「あ゛つーいー……」

花丸「ずら~……」

善子「天の業火に闇の翼が……」

ルビィ「その服やめた方がいいんじゃ……」

曜「どうしたんですか?全員集めて」

ダイヤ「ふっふっふ……」

ダイヤ「さて!いよいよ今日から夏休み!」

鞠莉「Summer Vacationと言えばー!?」

ダイヤ「はい、あなた!」

千歌「えっ!?……やっぱり、海だよね?」

曜「夏休みは、パパが帰ってくるんだ!」

花丸「マルはおばあちゃん家に」

善子「――夏コミ!」

ダイヤ「💢💢……ぶっぶーですわ!!!あなたたちそれでもスクールアイドルなのですか!!?片腹痛い、片腹痛いですわ!」

「「「ゴクリ……」」」

 

 

千歌「だったら、なんだって言うんです?」

ダイヤ「いいですか?みなさん、夏と言えば?はい、ルビィ」

ルビィ「……たぶん、ラブライブ!

ダイヤ「さすが我が妹、かわいいでちゅねぇ~よくできまちたねぇ~」

ルビィ「がんばルビィ!」

千歌「……」

花丸「……」

善子「何この姉妹コント」

ダイヤ「コント言うな!夏と言えばラブライブ!その大会が開かれる季節なのです!」

ダイヤ「!」バッ

ルビィ「――!」サッ

ダイヤ「ラブライブ予選突破を目指して、Aqoursはこの特訓を行います!」

ダイヤ「これは、わたくしが独自のルートで手に入れたμ'sの合宿のスケジュールですわ!」

ルビィ「すごいお姉ちゃん!」

花丸「……遠泳10km……?」

善子「ランニング15km……」

千歌「こんなの無理だよ……」

果南「ま、なんとかなりそうね」

「「「!?」」」

曜「えっへへ」

ダイヤ「熱いハートがあればなんでもできますわ!」

ルビィ「ふんばルビィ!」

曜「なんでこんなにやる気なの……?」

鞠莉「ずっと我慢してただけに、今までの想いがシャイニーしたのかも」

梨子「……」

曜「……」

ダイヤ「なにをごちゃごちゃと!さ、外に行って始めますわよ!」

 

「「「「……」」」」

曜「……そーいえば千歌ちゃん!海の家の手伝いがあるって言ってなかった?」

千歌「あ!そーだそーだよ!自治会で出してる、海の家手伝うように言われてるのです!」ビシッ

果南「あ、私もだ」

ダイヤ「そんなぁ!?特訓はどうするんですの?」

千歌「残念ながらそのスケジュールでは……」敬礼

曜「もちろんサボりたいわけではなく……」敬礼

ダイヤ「…………」

ダイヤ「――!」ギラン

ルビィ「ピッ」

ようちか「「!!」」

鞠莉「――じゃあ、昼は全員で海の家手伝って、涼しいmorning&eveningに練習ってことにすればいいんじゃない?」

花丸「それ賛成ずら」

ダイヤ「それでは練習時間が……」

千歌「じゃあ、夏休みだしうちで合宿にしない?」

「「「合宿?」」」

千歌「ほら、うち旅館でしょ?(We've got an inn, right?) 頼んで一部屋借りれば、みんな泊まれるし」

曜「そうか、千歌ちゃん家なら目の前が海だもんね」

果南「移動がないぶん、早朝と夕方、時間取って練習できるもんね」

花丸「でも、急にみんなで泊まりに行って大丈夫ずらか?」

千歌「なんとかなるよ!じゃあ、決まり!」

 

ダイヤ「それでは明日の朝4時、海の家に集合ということで」

「「「お、おー……」」」

千歌「……?」

梨子「……」

千歌「梨子ちゃんどうかした?」

梨子「え?ううん、なんでもない」

 

 

自室

『海に還るもの 桜内梨子

梨子「……」

 

 

千歌「やっほーい!」

曜「まっぶしー!」

千歌「よーっし!」

曜「とりゃー!」

千歌「ぷはー……ぅわっ」

鞠莉「えっへへ、シャイニー!」

果南「(サーフィンしてる)」

ルビィ「ぷかぷか……」

曜「……」ニシシ

曜「」コチョコチョ

ルビィ「!?うゅ……」

曜「あははっ!」

千歌「梨子ちゃーん!」

梨子「……」

ダイヤ「結局遊んでばかりですわね……」

花丸「朝4時に来たら、マル以外誰もいなかったずら……」

善子「あったりまえよ。無理に決まってるじゃない」

ダイヤ「……ま、まあ?練習は後からきちんとするとして……それより、手伝いは午後からって言ってましたわね?確か」

 

海の家「」

ダイヤ「――!?」

ダイヤ「はて、そのお店はどこですの?」

花丸「現実を見るずら」

ダイヤ「うっ……」

ルビィ「ボロボロ……」

曜「あっはは……それに比べて、隣は――」

曜「――人がいっぱい」

花丸「都会ずら~!」

ダイヤ「ダメですわ……」

鞠莉「――都会の軍門に下るのデェスか?」

「「「?」」」

鞠莉「私たちはラブライブの決勝を目指しているんでしょう?あんなチャラチャラした店に負けるわけには行かないわ!」

ダイヤ「……鞠莉さん――」

ダイヤ「――あなたの言う通りですわ!!」

「「「……」」」

鞠莉「てへぺろ

果南「え?」

 

ちかりこ「「これ、なに……?」」

ダイヤ「それで、この海の家にお客を呼ぶのですわ。聞けば、去年も売上で隣に負けたそうではありませんか」

ダイヤ「今年はわたくしたちが救世主となるのです!」

ちかりこ「「っ……救世主!?」」

果南「ははは……」

善子「……どうしてあんなに熱くなってんの……?」

ルビィ「ちょっと昔いろいろあって……」

ダイヤ「――果南さん。とぅっ!」

「「「?」」」

ダイヤ「さぁ、果南さんはこのチラシを!」

ダイヤ「商売もスクールアイドルも大切なのは宣伝!」

果南「はぁ……」

ダイヤ「あなたのそのグッラァ~マラスな水着姿でお客を引き寄せるのですわ!他のジャリどもでは女の魅力に欠けますので。ふっふ」

果南「なんか、顔が怖いんだけど……」

千歌「じゃりってなーに?」

梨子「知らない方がいいと思う……」

 

 

ダイヤ「そして鞠莉さん!曜さん!善子さん!」

善子「ヨハネ!!」

ダイヤ「あなたたちには料理を担当してもらいますわ」

曜「はぁ……」

ダイヤ「都会の方々に負けない料理で、お客のハートを鷲掴みにするのですわ!」

曜「面白そうだねー!」

善子「堕天使の腕の見せどころ……!」

鞠莉「じゃあ、Let's cooking!」

ようよし「「おー!」」

 

曜「とりゃ!ほっ!たぁっ!それぃ!」

曜「ほい、おいしいヨキソバ(Niceoodles)!ヨーソロー!」

善子「クックック……」

曜「……?」

善子「クックックック……堕天使の涙……降臨……!」

曜「……」

鞠莉「Unbelievable……」

鞠莉「シャイ煮、complete……」

曜「……」

 

ダイヤ「さあ、これで客がドバドバと!」

「「「……」」」

ダイヤ「……なんで来ないんですの!!?」

「こんにちはー!」

ダイヤ「あ、はーい!」

「ここが千歌たちが手伝ってる海の家?」

「私ヨキソバ!」

曜「へい!ヨーソロー!」

千歌「みんなに連絡したら、すぐ来てくれたよ!」

果南「最初からこうすればよかったんだね。ほーんとダイヤはおばかさん」

鞠莉「ほんと、お・ば・さ・ん!」

ダイヤ「一文字抜けてますわ!!」

 

 

果南「はっ、はっ、はっ……ふぅ」

果南「さすがにお店の後だと、ちょっときついね」

果南「?」

ダイヤ「……うぅ……こんな特訓をμ'sはやっていたのですか……?」

ルビィ「す、すごすぎる……」

ダイヤ「」バタリ

 

果南「次は体幹をきちんと鍛えるよ!」

善子「……今こそ……!無我に……!(Must...eliminate the ego!)」

花丸「ずら~……!」

千歌「!?うわぁっ!」

善子「っ!」

花丸「ずらっ!」

ルビィ「ピギィ!」

「「「「~~~……」」」」

梨子「……ふふっ」

千歌「?」

千歌「……ふふ」

 

ルビィ「ひゃっこい……」

千歌「我慢して?まだ砂落ちてないよ」

ダイヤ「まったく、お湯はないんですの?」

ルビィ「それにしてもμ'sって、すごい特訓してたんだね!」

善子「リトルデーモンね」

花丸「違うずら」

美渡「あんたたち!他のお客さんもいるから、絶対うるさくしたらダメだからね!」

千歌「わかってるー!」

美渡「言ったからね!」

グゥ

鞠莉「I'm hungry! ごはんまだ?」

千歌「それが……」

 

 

「「「えぇ~!?」」」

千歌「美渡姉が余った食材は自分たちで処分しなさいって……」

梨子「そんなに余ったの?」

千歌「ヨキソバはほぼ売り切れたんだけど……」

千歌「シャイ煮と堕天使の涙、まったく売れてなくて」

善子「申し訳ない」鞠莉「デース!」

ルビィ「それってどんな味がするんですか?」

果南「ちょっと興味あるね」

梨子「そうですね」

花丸「マルも食べてみたいずら!」

よしまり「「いいですわ!!」」

 

鞠莉「シャイ煮、please……!」

善子「堕天使の涙に溺れなさい!」

よしまり「「さあ!召し上がれ!!」」

「「「い、いただきます……」」」

千歌「はむ……ん!?」

千歌「シャイ煮おいしい!!」

梨子「……でもいったい、中に何が入ってるの……?」

花丸「おかわりずら!」

鞠莉「ふっふーん、シャイ煮はワッターシが世界から集めたスッペーシャルな食材で作った究極の料理デース!」

ダイヤ「で、一杯いくらするんですの、これ……」

鞠莉「さあ?10万円くらいかなー」

「「「ぶーっ!!!」」」

花丸「じゅ、10万円!!?」

千歌「高すぎるよ!!」

鞠莉「え?そうかなー?」

果南「これだから金持ちは……」

ルビィ「えへへへ……次は、堕天使の涙を……あむっ」

ルビィ「――――」

ダイヤ「?ルビィ?」

ルビィ「――――ピギャァァァァァァァァァァァァ!!!!」

ルビィ「からいからいからいからいからいからいからいからい!!」

善子「フッ」

ダイヤ「ちょっと!いったい何を入れたんですの!?」

善子「タコの代わりに大量のタバスコで味付けした、これぞ堕天使の涙!!」

鞠莉「Oh!Strong hot!!!」

ダイヤ「平気ですの?」

善子「え?どうして?」

ダイヤ「どうしてじゃないですわ!」

 

梨子「そういえば歌詞は?」

千歌「うーん、なかなかね……」

曜「難産みたいだね。作曲は?」

梨子「いろいろ考えているけど、やっぱり歌詞のイメージもあるから」

千歌「いい歌にしないとね」

梨子「うん」

 

ルビィ「ふぇえ~……」

梨子「……ふふ」

メッセージを消去してもよろしいですか?

梨子「……」

メッセージを消去しました

梨子「……」目を閉じる

 

曜「千歌ちゃーん!ソース切れちゃったー!」

千歌「わかったー!うちから取ってくるね!」

 

千歌「……?」

志満「ピアノコンクール?」

梨子ママ「ええ、案内が来たらしいんだけど、あの子出るとも出ないとも言ってなくて」

志満「いえ、千歌からは何も聞いてないですけど……」

千歌「……」

 

Bパート

 

「「「Zzz……」」」

千歌「……」

千歌「やっぱり……」

千歌「この日って、ラブライブ予備予選と同じ日……」

千歌「……」

梨子「Zzz……」

千歌「梨子ちゃん……」

千歌「梨子ちゃーん……」

千歌「梨子ちゃーん」

梨子「千歌ちゃん……面白がってませんか……?」

千歌「えへへ……」

 

梨子「バレてたか……」

千歌「……」

梨子「心配しなくて大丈夫。ちゃんとラブライブに出るから」

千歌「え?」

梨子「確かに、初めて知らせが届いたときはちょっと戸惑ったよ?チャンスがあったらもう一度って気持ちもあったし」

梨子「でも、合宿が始まってみんなと一緒に過ごして」

千歌「……」

梨子「ここに越してきてから、この学校やみんなやスクールアイドルが、自分の中でどんどん大きくなって」

梨子「みんなとのAqoursの活動が楽しくて、千歌ちゃんとの出会いも」

梨子「自分に聞いたの」

千歌「……」

梨子「どっちが、大切なのか」

梨子「すぐ答えは出た」

梨子「今の私の居場所は、ここなんだって」

千歌「……そっか」

梨子「今の私の目標は、今までで一番の曲を作って予選を突破すること!それだけ」

千歌「……!うん、わかった。梨子ちゃんがそう言うなら……」

梨子「だから早く歌詞ください」

千歌「えぇー!?今言うそれ!?」

梨子「ふふっ、当たり前でしょ?さ、風邪引くといけないから戻ろ」

千歌「……」

千歌「……うん」

 

 

ちかりこ「「へーい!!」」

かなまり「「あははは!!」」

ちかりこ「「もー!!」」

曜「はい、ヨキソバ!」

ルビマル「「……!」」グラグラ

ダイヤ「シャイ煮をおひとつ――」

ルビマル「「!!」」ガッシャーン

ルビマル「「ふぇぇ……」」

 

千歌「どこ行くの?」

果南「梨子ちゃんとダンスの相談。来る?」

千歌「いいの!?」

 

梨子「大切な、もの?」

果南「それが歌詞のテーマ?」

千歌「うん。まだ、出だしだけしか書けてないんだけど……」

梨子「……」

梨子「……大切な、もの……」

千歌「……?」

机の上の楽譜

果南「梨子ちゃん?」

梨子「え?」

果南「梨子ちゃんも読んでみて、どう?」

千歌「……」

梨子「ああ、はい……」

千歌「……」

海に還るもの

千歌「あの曲……」

 

 

よしまり「「はぁあー……」」

千歌「今日も売れなかったんだね……?」

曜「できた!カレーにしてみました!」

曜「船乗りカレー、withシャイ煮と――愉快な堕天使の涙たち(イケボ)」

「「「……」」」

ルビィ「うぅ……ルビィ死んじゃうかも……」

曜「じゃあ、梨子ちゃんから召し上がれ!」

梨子「うっ……」

梨子「あむっ……ん!?」

梨子「おいしい……!」

ちかよしまり「「「!」」」

梨子「すごい、こんな特技あったんだ!」

鞠莉「んん~っ!Delicious!」

曜「パパから教わった船乗りカレーはなんにでも合うんだ!」

ダイヤ「フッフッフ……これなら明日は完売ですわ……」

「「「……」」」

ルビィ「お姉ちゃん……?」

花丸「おかわりずら!」

善子「はやっ!」

曜「あっはは!」

曜「……?」

曜「わっ!千歌ちゃんどうしたの?」

千歌「……ううん、なんでもないよ。ありがと」

曜「……?」

梨子「あはははっ」

曜「……」

 

 

ダイヤ「では!これからラブライブの歴史と、レジェンドスクールアイドルの講義を行いますわ!」

果南「……今から?」

ルビィ「うわぁ~!」

ダイヤ「だいたいあなた方は、スクールアイドルでありながらラブライブのなんたるかを知らなすぎですわ」

「「「……」」」

ダイヤ「まずはA-RISEの誕生から……ん?」

「「「……?」」」

鞠莉「……」

ダイヤ「鞠莉さん?聞こえてますか?」

ダイヤ「おーい、Missマリー?」

鞠莉「……」ペラッ

ダイヤ「~~~~!!!!」

ダイヤ「あぅっ」バタリ

ルビィ「お、お姉ちゃん!?」

「「「ふぅ……」」」

千歌「――っ!」

千歌「……」ソーッ

美渡「――!!!」

千歌「……っ今日はもう遅いから早く寝よ!!」

曜「遅いって、まだ9時だよ?」

千歌「今日のところは早く静かにしないと、旅館の神様に尻子玉抜かれるよ!」

曜「よ、よーそろー……」

美渡「……」スッ

千歌「……ふぅ……」

 

 

「「「Zzz……」」」

ダイヤ「目が……目がぁ……」

千歌「……」

千歌「梨子ちゃん!」

梨子「……?」

梨子「なーに……?」

千歌「ひとつお願いがあるの」

 

梨子「こんな夜中にどこ行くの?」

千歌「いいからいいからー!」

 

千歌「考えてみたら、聞いてみたことなかったなって。ここだったら思いっきり弾いても大丈夫だから」

千歌「梨子ちゃんが自分で考えて、悩んで、一生懸命気持ち込めて作った曲でしょ?聴いてみたくて!」

梨子「でも……」

千歌「おねがい!少しだけでいいから」

梨子「……そんな、良い曲じゃないよ?」

梨子「……はぁ……」

梨子「……」

梨子「――」♪~

千歌「……!」

 

千歌「良い曲だね」

梨子「千歌ちゃん……」

千歌「すっごく良い曲だよ、梨子ちゃんがいっぱい詰まった」

千歌「……梨子ちゃん」

梨子「?」

千歌「ピアノコンクール出てほしい」

梨子「……!!」

千歌「……こんなこと言うの、変だよね。めちゃくちゃだよね」

千歌「スクールアイドルに誘ったのは私なのに。梨子ちゃん、Aqoursの方が大切って言ってくれたのに」

千歌「……でも、でもね!」

梨子「私が一緒じゃ、嫌……?」

千歌「違うよ!一緒がいいに決まってるよ!!」

千歌「……思い出したの。最初に梨子ちゃん誘ったときのこと」

梨子「……」

千歌「あのとき私、思ってた。スクールアイドルを一緒に続けて、梨子ちゃんの中の何かが変わって、またピアノに前向きに取り組めたら、素晴らしいなって。素敵だなって!そう思ってた、って」

梨子「……でも……」

千歌「……」手を差し出す

千歌「この町や学校や、みんなが大切なのはわかるよ?私も同じだもん」

千歌「でもね、梨子ちゃんにとってピアノは、同じくらい大切なものだったんじゃないの?」

梨子「……!」

千歌「その気持ちに、答えを出してあげて?」

梨子「……」

千歌「私待ってるから!どこにも行かないって、ここでみんなと一緒に待ってるって約束するから、だから……!」

梨子「――!」

千歌「……!」

梨子「――ほんと、変な人……!」

千歌「……!」

梨子「――」

千歌「――」

梨子「……大好きだよ」

 

ED

Aqours First LoveLive! ~Step! ZERO to ONE~ 2日目

異変は、突然だった。

 

2日目、少しだけMCの内容が変わりながらも、セットリストに大幅な変更はなくライブは佳境へ進んでいった。花火の演出とともに未熟DREAMERを終え、無言のまま、初日と同じように逢田さんが階段を登る。そして振り返った逢田さんは、しかし初日とは違うにっこりとした微笑みで、私たちにお辞儀をした。笑顔だった。昨日の経験が、初めて大舞台でピアノを弾いた経験が、今日の逢田さんにはきっと活きている。そう、私には思えた。

 

椅子に座ってからは、初日と同じコンセントレーション。しっかりと深呼吸を重ね、手に力を込め、伊波さんと目を合わせる。でも、その時間は初日よりも短かった。私は、どこか安心しながら、期待感とともにサクラピンクのブレードを握りしめ、桜内梨子の演奏を待っていた。

 

少しの後、伊波さんがゆっくりと歌い出す。逢田さんが緊張の面持ちで白鍵を叩く。初日と同じように、想いよひとつになれが始まった。ほどなくして差し掛かるピアノソロ。スクリーンに映る逢田さんの演奏に合わせ、高槻さんから順繰りに鍵盤を弾く手を重ねていった、そのときだった。

 

明らかに低い一音が、広い会場内に響き渡った。

そのときのカメラは、無情にも目を見開いたまま凍りついた表情の逢田さんを映していたことをよく覚えている。

時間が、止まったような気がした。

 

瞬間固まった会場の空気は、しかしグリスの絢爛な音色とともに吹き飛ばされた。何事もなかったように、曲は進んでいく。でも、そのときにはもう、逢田さんはオケに演奏を合わせることができなかったんだと思う。伊波さんと斉藤さんがAメロを歌い出した途中で、曲が中断された。今にして思えば、逢田さんを信じ続けたスタッフの英断だったんだろう。スクリーンに流れ出していたアニメの映像も停止し、代わりに映し出されたのは、混乱しているだろうキャストたち。今度こそ、会場は静寂に包まれた。何が起きているのか、理解できなかった。私の頭は、完全に真っ白になっていた。

 

一瞬の空白の後、ざわつき始めた空気を抑えるかのように、真っ先に伊波さんが駆け出した。涙を流し、しゃくり上げながら、過呼吸気味に「ごめんなさい、ごめんなさい」と口にする逢田さんを、伊波さんは「大丈夫だから」と抱きしめた。鈴木さんも駆け寄る。「大丈夫、絶対大丈夫、大丈夫」と、鞠莉の声で、いつものハイテンションな声音ではなく、Aqoursのお姉さんとしての落ち着いた小原鞠莉の声で、まるで子供をあやすかのごとく、逢田さんに優しく、しかし力強く、語りかけ続けた。そしてもう一人階段を駆け上がり、背を向けて観客から逢田さんの姿を隠していたキャストがいた。私は目の前の出来事を頭で処理することに必死で誰だったかまでは覚えていないけど、諏訪さんだったらしい。

 

やがて会場からは、「りきゃこー!!」「がんばれー!!」「行けるぞー!!」と、あちこちから声援が飛び交い始めた。ゆっくりと、会場が息を吹き返していた。自分にできることはただ声を届けることしかないと、そこで私はようやく「応援すること」の意味を理解したような気がした。喉が千切れんばかりの大音声で、「がんばれー!!」と何度も叫んだ。あんなにがむしゃらに泣き叫んだのは、人生でも初めてのことだったかもしれない。たくさんの声援たちは、やがて「梨香子!梨香子!」という、梨子でもりきゃこでもなく、逢田梨香子の名前を呼ぶひとつの大きな声へと収束していった。その大合唱の中、広い会場を照らす光は、サクラピンクただ一色だった。

 

駆け寄ったメンバーたちが定位置へと戻るとともに、梨香子コールは落ち着きを見せていく。そして、もう一度、想いよひとつになれが始まった。涙に濡れた顔で、逢田さんがピアノを弾き始める。私はブレードを握りしめながら、ただただ成功を祈り続けた。そして、さっき躓いてしまった前奏のピアノソロが再び訪れた。それを、逢田さんは初日よりも震える手つきで、しかし正確に演奏したのだった。その瞬間、大音量になるオケに負けないくらいの大歓声が上がったのは、きっと気のせいじゃなかったと思う。

 

私はかねてから、想いよひとつになれのCメロが好きだった。

曲展開、歌詞、ひとつひとつの音。どれを取っても、気分が高揚するような、でもどこか切なくなるような、そんな印象があった。間奏を終え、Cメロに入ったそのとき、私はこの歌詞に大きな意味が与えられたことを実感した。ミスをした逢田さんを抱きしめた伊波さん、優しく声をかけ続けた鈴木さん、ただ黙って傍に居てあげた諏訪さん、下で再起を信じて待っていた高槻さん、降幡さん、小林さん、斉藤さん、小宮さん。きっとそれができたのは、今までの長い、長い練習の中で、9人でかけがえのない日々を過ごしてきたからこその、強い絆の力のおかげだったと思う。もう、Aqoursは完全な1つのチームだった。逢田さんの奏でるピアノをバックに、8人がひとりひとり、Cメロの歌詞を紡いでいく。そして、ラストを飾る伊波さんが、今までよりも一際大きな声で、「ひとりじゃない」と高らかに歌い上げた。よく通るその歌声と強いメッセージが、会場内を満たした。そのステージには、あまりにも美しい、青春を共に駆ける仲間の絆があった。

 

最後の一節を歌い終え、想いよひとつになれは後奏を迎える。待ち構えるは、曲を締めくくるピアノソロ。初日と同じように、カメラがピアノを捉える。涙の痕を残しながら、逢田さんは真剣な、真剣な表情で、一音一音確かめるように、奏でていく。そして、最後の一音が指すその白鍵を、がくがくと震える小さなその指で、打った。高く澄んだ、綺麗なピアノの音が、梨子ちゃんの奏でたそれと全く同じ美しい音が、会場にすぅっと吸い込まれていった。数瞬の後、割れんばかりの拍手と歓声が、会場を包み込んだ。Aqoursの想いが、スタッフチームの想いが、私たちの想いが、ライブを見守るすべての人たちの想いが、ひとつになった瞬間だった。

 

演奏後、逢田さんは暗転した闇の中、ひとり下がっていった。残された8人は初日と同じ調子のMCを、初日と同じ様子で繰り広げる。あれだけのトラブルがあったのにもかかわらず、みんなとても落ち着いていた。観客を不安にさせないための、プロの姿だった。やがて、メイク直しを終えた逢田さんが戻ってきた。未熟DREAMERトークが進む中、逢田さんは衣装を見せる流れにも参加しつつ、いよいよ話題は想いよひとつになれに移る。そこで、逢田さんが初めて口にした言葉がこれだった。

 

「ごめーん間違えちゃったー!マジごめーん」

 

すごく、すごく軽い調子で、さっきまで泣きながら過呼吸を起こしていた人と同一人物とは思えないくらいの明るい調子で、逢田さんはそう言った。なんて強靭な精神力を持ち合わせているんだろうと、どれだけ観客思いなんだろうと、私はとてつもない衝撃を受けた。そもそも考えてみれば、あの張り詰めた空気の中、不安定なあの状態で、1回目よりも格段に難しい2回目で最後までピアノを弾ききってみせたこと自体が、およそ常人にはできないことだった。逢田さんは「でも、みんなの声が聞こえてきたから最後までがんばれた。ありがとう」とも語っていた。自分で精一杯だっただろうに、どこまでも観客のことを考えてくれているプロ意識、ともすればプレッシャーに変貌しかねない大きな声援をすべて自分の力へと変えてみせたその胆力こそが、逢田さんがその小さな身体に宿すパワーの源なんだろうと思う。最後に、逢田さんは「みんなに支えられてるんだなって、改めて感じ入っちゃった」と、メンバーへの感謝を告げていた。何度も感じた、絆の力だった。

その話の中で、一際強く私の心に響いたのは伊波さんのフォローだった。

 

「だって生ですから!何が起きるかわかんないから!」

 

それがライブだと、笑顔で言い切ったのだった。

「これからも、いろんなことがあると思う。嬉しいことばかりじゃなくて、つらくて、大変なことだっていっぱいあると思う。でも私、それを楽しみたい!全部を楽しんで、みんなと進んでいきたい!それがきっと、輝くってことだと思う!」

13話で千歌ちゃんが言ったこの言葉が、今回のライブの場でとても大きな意味合いを持ち始めた。ライブで起きたアクシデントに対しての、高海千歌たる伊波さんの答え。千歌ちゃんの精神性、千歌ちゃんの見つけた答えを、伊波さんはしっかりと理解し、表現していた。「新たな物語」が付与された、ラブライブ!を感じた瞬間だった。

 

ライブは終盤に差し掛かり、アニメのダイジェストを経て、初日と同じように13話の演劇が始まった。5分ほどもあるあの長丁場に、収録とは違い1回のミスも許されない再現に、9人は再び挑戦していた。私にできることはただ、噛まないことを祈ることだけだった。サクラピンクのままのブレードを強く握り、ただ祈りを捧げていた。そして、梨子ちゃんの台詞が訪れる。

 

「輝きたい!」

 

その言葉を言った逢田さんの表情は、アニメで描かれていた、顔を輝かせる梨子ちゃんとはあまりにもかけ離れていた。ピアノを弾いていたときのような、凛々しさを感じさせる真剣な顔つきだった。桜内梨子ではなく、逢田梨香子としての心からの叫びのように思えた。そこからはもう、演劇の一言一言が、ずしりとした重みを増して私の胸に響き続けた。

 

「起きること全てを受け止めて」「全てを楽しもうと」「それが、輝くことだから!」

 

なんて、なんてライブだろう。「輝くって、楽しむこと」。初日、小林さんが最後のMCで引用した、千歌ちゃんの言葉。「輝くこと」と「楽しむこと」を同義とした13話の意義はここにあったのかと、頭がパニックになるほどのトラブルを乗り越え、それでも楽しみたい、輝きたいと願うことがラブライブ!サンシャイン!!だと、Aqoursの在りたい姿なんだと、何倍も、何倍も強くなった説得力で実感させてくれた。だからこそ、逢田さんは真剣な表情で「輝きたい!」と叫んだんだと、そう強く思えた。それだけで、あの演劇にはとてつもなく大きな意味が与えられた。きっと、このライブの場には奇跡も必然もなかったと思う。2日目にあったものは、千歌ちゃんたち2年生がμ'sに憧れたように、「諦めない気持ち」と「信じる力」があったからこそ、そしてみんなの絆とそれを包み込む全員の想いがあったからこそ結実した、青春の輝きだった。

 

逢田さんは終演後、更新した自身のTwitterで「とにかく楽しかった!!」とツイートしていた。もうあのライブの中で答えを見つけていたこと、ピアノのミスがあってもなお「楽しかった」と言ってくれること、私はただ救われる思いだった。その後Instagramではピアノのことについて触れ、「失敗は失敗」「プロとしてステージに立たせて貰ってる以上失格」と割り切り、私に泣く資格はないからと、その後は笑顔でパフォーマンスをするしかできなかったと綴っていた。思い返せば、小林さんや鈴木さん、諏訪さんも涙ぐみかけていた最後のMCが終わっても、逢田さんはひとしずくの涙も見せていなかった。本当にどれほど私たち観る側のことを考え続けてくれているのか、そんなにまで自分を押し殺せるくらいのタフな気持ちはどこから湧いてくるのか、逢田さんの心の強さを改めて思い知らされる言葉たちだった。

 

楽しくて泣いたとか、悲しくて泣いたとかじゃなくて、今回私は「人の想い」に触れて、それに感動してた気がします。すごく、すごく心に残るライブでした。本当に、一生の思い出です。

Aqours First LoveLive! ~Step! ZERO to ONE~ 1日目

雑感です。たぶん機械的な文章だと思う。

 

たぶん私の中でもライブの転機は未熟DREAMERと、やっぱり想いよひとつになれだったんだと思う。

 

それまでも楽しかったし、青空Jumping Heartではキャストが本当に踊っているのを見て自然と涙が出てきたりもしたんだけど、ただクオリティの高い曲とパフォーマンスを眺めていただけだった節は正直認めざるを得なかった。一番大好きな夢で夜空を照らしたいも、ただ「良い曲だな」という思いだけで耳を通り過ぎていってしまって、大きく気持ちが揺さぶられることはなかった。ユニットパートに入り、CYaRon!の表情の豊かさやAZALEAの花舞う軽やかなダンスに心を奪われ、背景で炎が燃え上がる中最高の盛り上がりを見せたGuilty Kissのターンを終えた辺りで、会場の一体感とは裏腹に、私の心にはこのままただ楽しかったライブで終わっちゃうのかな、という不安が兆し始めていた。

 

その後、アニメのダイジェストの流れをシームレスに受け継いでから、9人揃ったAqoursとして満を持して披露された未熟DREAMER。今までの楽曲の中でも一番トリッキーなこの曲のダイナミックなオケに合わせて、歌が紡がれダンスが披露されていくさまを見つめながら、それでも私は「良い曲だな」という気持ちが浮かぶだけだった。再現されてることへの感慨が薄かったというか、ハイコンテクストな言い方をすると、ラブライブ!を感じられなかったんだと思う。でも、それが変わったのが2サビだった。

 

「ひとりじゃない 無理しないでよ」

 

アニメ尺にはないこの歌詞の一節で、諏訪さんと鈴木さんが両側から小宮さんを抱きしめた。それだけで、その一瞬だけで、私の中で未熟DREAMERという曲に奥行き、深みが生まれた感覚が確かにあった。アニメ9話は個人的に引っかかりが解けなくて、このブログで写経するくらいうんうん悩んでたんだけど、それでも果南と鞠莉が「ひとりじゃない 無理しないでよ」と語りながらダイヤを抱きしめる姿を見て、3年生の友情が胸にすっと沁みた。大好きだったスクールアイドルを大好きな友達の将来と大好きな友達の想いのために諦めて、大好きな妹に八つ当たりしてしまうくらいAqoursやμ'sへの気持ちを抑え続けて、2年もの間ずっとずっと自分のことよりも果南と鞠莉のことだけを考えて、3年生になってからは生徒会の仕事をもただ1人で背負い、最後の最後まで意地を張り続け、自分にすら嘘をついて「無理してきた」ダイヤ。そんなダイヤへ、今までずっと自分たちの都合で振り回し続けたダイヤへ、新生Aqoursとダイヤのおかげですれ違いが解決した果南と鞠莉が、今までの贖罪と感謝と友情と想いを込めて送ったプレゼントは、3年生の過去にずっと描かれていた「ハグ」だった。

これこそが、私がライブで見たかった「物語」だった。ライブによって付与される新たな視点、文脈、価値観、バックグラウンド、なんでもいいけど、とにかく歌やダンスで「キャラクターの物語」を感じさせてくれることが私の中でのラブライブ!だったから、未熟DREAMERのこのダンスは本当に感動した。

 

その後の衝撃は、たぶんみんな感じたことだと思う。

 

花火が降り注ぎ、曲が終わった後、いつの間にかステージに鎮座しているグランドピアノ、こちらに背を向けゆっくりと階段を登る逢田さん。その時の私には、目の前の光景が本当に信じられなかった。何が起きようとしているのか、理解できなかった。ピアノが未経験という話はインタビューでも触れていたのに、まさか。まさか、本当に演奏するのか、なんて思いが過ぎったと同時に、逢田さんは階段を登りきり、振り返って一礼した。その時の表情は、もう誰が見てもガチガチに緊張してるのがわかるくらい固くて、それだけでこの人は本当にピアノを弾くつもりなんだ、本当に11話を再現するんだ、と直感でわかった。着席し、震える手を抑え、何回も、何回も深呼吸を繰り返し、目を瞑ってよしと頷いて、階段の下からじっと見つめ続けていた伊波さんと目を合わせて、頷き合う。その一連の動作が永遠に感じられるくらい、長い、長いコンセントレーションの時間だった。

 

8人が位置につき、静かなシンセのオケが流れ出す。伊波さんの歌とともに、逢田さんの弾く鍵盤の音が耳を打った。ピアノの横に設えられたカメラが、真剣な眼差しで、震える指先で、一音一音はっきりと、ピアノソロの旋律を慎重に奏でていく逢田さんを映す。エレクトーンとは違い、一つ一つのキーがかなりの重さを持つグランドピアノで、明らかに初心者とわかる慣れない手つきながらも、今の彼女には難しいはずの小節中のグリッサンドを、逢田さんは綺麗に成功させた。同時にギターやベース、ドラムのバンドサウンドの奔流が9人を包み込み、やがて歌い出す8人が大写しになった。その後も、笑う余裕もないまま、ただただ本気の表情で、しっかりと伴奏を弾く逢田さんの姿が時々映されていたような気がする。

 

曲はやがて終わりに向かう。伊波さんと斉藤さんが両サイドから手を伸ばし合う、アニメさながらのダンスからバトンタッチするかのように、オケとピアノの後奏が始まる。疾走するドラムが最後のスネアを響かせた瞬間、ひとり取り残されるピアノ。逢田さんはまったく緩むことのない顔で、最後の一音を、「想いよひとつになれ」ではなく、11話の梨子ちゃんがそうだったように、「海に還るもの」のラストの音を、その小さな指先で、けれど確かな存在感で、奏でた。あの瞬間だけは、階段の上と下で、世界が分かたれていた。1人と8人が別々の場所で想いをひとつにした、11話そのものだった。演奏が終わった瞬間、私はへたり込んでしまって、その後の逢田さんの顔や、8人がどんな表情をしていたかはまったく記憶にない。

 

逢田さんはアンコール後最後のMCで、「今回挑戦させてもらうことがすごく多くて、ピアノもそうなんだけど、どうなってしまうんだろうという恐怖があったんです」という旨の話をしていた。1万人以上、いやもっとそれ以上の人たちの前で未経験のピアノを弾く覚悟は、積み重ねてきた努力はいったいどれほどだったんだろうと、どれだけ桜内梨子に想いを懸けているんだろうと、涙が止まらなかった。

そして逢田さんは、「でもそれがあったおかげで、梨子ちゃんの気持ちが少しわかった気がしました」と語った。私の思う、キャラとキャストの関係の絶対性、不可侵性がその言葉の中に詰まっていた。キャストだけが掴み、近づくことのできるキャラの在り方、キャラの領域。ラブライブ!のライブが紡ぐ、2次元と3次元が繋がる感覚があった。トートロジーみたいなことを言うけど、ラブライブ!サンシャイン!!は確かにラブライブ!だったことを、私はそこで改めて思い知った。

 

初日、私の中で心に残っているのは、確実にハイライトとして掲げられる想いよひとつになれが終わった後、そのMCでの斉藤さんの発言だった。MCが進む中、やがてもじもじし始める斉藤さん。伊波さんたちにどうしたのと尋ねられ、ややあってからくるっと逢田さんに向き合う。そして、

 

「梨子ちゃん、おかえり!」

 

と、誰よりも早く梨子ちゃんの帰還を喜んだ。11話を経た曜ちゃんの想いが、その言葉と表情に溢れ出していた。千歌ちゃんが自分を見てくれていないかもしれないことへの不安や恐怖の中で、いつも千歌ちゃんと一緒に曲作りをする梨子ちゃんへの、嫉妬を形作るほどでもないもやもやとした気持ちを抱えたまま曜ちゃんは、ダンスのフォーメーションについて心配して連絡してくれた梨子ちゃんとの電話口で、鞠莉との「ぶっちゃけトーク」で緩んでいた胸の蓋が外れて、その中にあるどろっとした気持ち、普段見せない弱みを零してしまう。そして梨子ちゃんに千歌ちゃんへの想いを掬われ、梨子ちゃんの語る言葉とそれを証明する千歌ちゃんの行動で救われた曜ちゃんは、家を訪れた千歌ちゃんに縋り付いて泣きながら、梨子ちゃんにプレゼントされたシュシュを手首につけて、ようやく梨子ちゃんも大好きな友達だと思うことができた。その流れがあるからこそ、想いよひとつになれを披露した後で、曜ちゃんが真っ先に「梨子ちゃん、おかえり!」と言うことの意義はすごく大きかった。11話と12話の間で曜ちゃんが梨子ちゃんに対して絶対言ってるに違いない言葉だと、私に強く信じさせてくれる力があった。ライブの場が提示する「キャラクターの物語」、歌やダンスじゃなくとも、私の思うラブライブ!はここにも確かに存在していたんだと感じられた。

 

同じような感慨を感じたのは、そのMCの少し手前、未熟DREAMERについて触れているときの、「親愛なるお姉ちゃん!ようこそ、Aqoursへ!」というアニメに登場するルビィの台詞を再現した降幡さんに対して発せられた、「ありがとう、ルビィ」という小宮さんの言葉。でも、これはダイヤが言うだろうという言葉というよりも、最後まで意地を張って本音を言わなかったダイヤの本心を小宮さんがキャラに唯一近づき触れられるキャストとして代わりに言ってくれたような、そういう類の感慨だった。「梨子ちゃん、おかえり!」が渡辺曜としての言葉なら、「ありがとう、ルビィ」は小宮有紗としての言葉。どちらにもキャラとキャストのそれぞれの関係性を垣間見たような気がして、ラブライブ!のライブで私が見たかった、感じたかったことはこれなんだ、と強く印象に残ってる。

 

最後のMCで泣いてしまった高槻さんの話。高槻さんは普段のおちゃらけながらも空気がしっかり読める、場のバランサーとしてのスキルに長けたバラエティ力の塊という個人的なイメージがあって、涙から一番縁遠い人だと勝手に思っていたから、失礼な話だけど少しびっくりした。遡れば去年1月にメルパルクホールで開催された、Aqours初めてのイベントの中でダイジェストとして放送された合宿の映像で、9人が体力づくりでジョギングに励む中、1人だけぐっと離されてしまったキャストが高槻さんだった。以前からインタビューでも、合宿のときは自分だけ体力が無くて本当に情けなかったと語っていた高槻さんは、「Step! ZERO to ONE」を冠する今回のライブで「0になったことがありました」と、そのときの話を涙ぐみながら語っていた。そのとき、「マルちゃんと同じで、体力が無くて」と言っていたことで、こと花丸ちゃんへ近づくためであれば、このラブライブ!サンシャイン!!というプロジェクトにおいてであれば、体力がなかったことはポジティブに捉えられるんじゃないかと、私は身勝手なことを思ってしまった。キャラもキャストも同じ位置から、同じ「0」からスタートしたことは、Aqoursのキャストであるならば利点なんじゃないか、と。花丸ちゃんはアニメ全13話を経て、今はアニメPVの中でみんなと一緒に完璧なダンスを披露している。高槻さんも、今日はしっかり踊れていたんじゃないかと、LVのカメラ越しの素人目線で何がわかると言われればそれまでなんだけど、それでもその成長があるならばいいんじゃないかと、安全地帯の観客だから思えることが頭を過ぎっていた。そんなとき、高槻さんは笑顔で言い切った。

 

「でも、今は自信しかありません!」

 

この言葉を聞いて、そう思ってしまった自分が許されたような、それ以上に花丸ちゃんとのシンクロを強く感じたような、熱い気持ちが溢れた。それはまさに、8話で梨子ちゃんが「みんなで一緒に歩こう」と言い、キャラが手を繋ぎ合って進んでいったAqoursの姿を感じさせる一言。キャラ同士だけじゃなく、キャラとキャストが、花丸ちゃんと高槻さんが一緒に手を繋いで、同じ位置から二人三脚で進んでいく、そういう次元を超えた友情のようなものを感じて、涙が零れそうになった。「一歩を踏み出せたと思います」という言葉が、会場のスピーカーを通して劇場内に力強く響いた。その後で「ま、明日もあるんですけど」と笑いを誘って常に空気に気を配るところがやっぱり高槻さんの高槻さんたる所以だなと思いながらも、「今日の反省を活かして、明日も頑張ります」と宣言していたところにプロの心意気を感じたとともに、私は私自身の甘さを痛感した。

2日目、私は現地のメインステージ横のアリーナ席にいた。そこからは、アンコールで披露されたPops heartで踊るんだもん!を横並びでパフォーマンスするキャストをとても近くで見ることができた。歌詞にライブの今を重ねて泣きそうになりながらただ頷くだけだった私は、Bメロで目の前に来た高槻さんと目が合った。高槻さんは、顔を歪めた私の様子を見てにっこりと優しげな微笑みを浮かべて頷き、すぐに前を向いたと同時にサビに差し掛かった。サビで9人が同じダンスをするPopsheartで、初日に「体力がなかった」「今日の反省を活かして」と語った高槻さんは、みんなと一糸乱れぬ動きで完璧なダンスを披露しながら、ずっと笑顔のまま歌い続けていた。プロであればそれが当たり前なのかもしれないけど、私はそこに運動が苦手ながらも努力を重ねて踊れるようになった花丸ちゃんの姿と、何よりその楽しげな横顔に花丸ちゃんの優しい笑みを見たような気がした。2日目の挨拶で「身長がコンプレックスで、花丸ちゃんは一番小さいから」「Aqoursと花丸ちゃんのことをずっと考えてきた」という話をしていた高槻さん。私は今まで、告知や宣伝の場で「高槻かなこ」として高槻さんが喋っているとき、すぐに「ずら」を語尾につけて話す高槻さんが、正直に言うと少し苦手だった。今は花丸ちゃんとして喋ってるわけじゃないのにどうして「ずら」をつける必要があるの、シンクロってそういうことじゃないでしょ、と疑問が浮かぶばかりで。でも今回のライブを経て、それはずっと花丸ちゃんのことを考えてきたゆえで、喋るたびに「ずら」が付く花丸ちゃんのことばかりを考えてきたから、Aqoursの話をするときはそれが癖になってしまっているのかもしれないと思えるようになった。もちろん、真実は私にはわからない。それでも、このライブに懸ける想い、磨き上げたパフォーマンス、そして何よりも、高槻さんが見せた優しい微笑みが私に「国木田花丸」を感じさせてくれた。身長なんか些細な問題でしかなかったと、ラブライブ!における大前提をしっかり体現してみせた高槻さんは、間違いなくラブライブ!サンシャイン!!の、Aqoursの立派なメンバーだった。それがたまらなく、私にはうれしかった。

 

両日とも、最後のMCで「横浜アリーナは、私の憧れの場で。ラブライブ!、大好きなラブライブ!で、横浜アリーナに立ててひとつ夢が叶いました」「横浜アリーナに大好きなラブライブ!で出演できて、本当に嬉しいです」と涙ながらに語ったのは、鈴木愛奈さんだった。歌からダンスから、キャストの立ち姿からラブライブ!を感じられた私にとって、すごく、すごく身近な言葉だった。ラブライブ!サンシャイン!!は、Aqoursは、確かにラブライブ!を受け継いでいる。改めてその実感が蘇って、本当に楽しくて、うれしくて、幸せだった。ライブに参加する前と後で、Aqoursに対する気持ちが何倍にも大きくなってると思えた。私の中では少なくとも0じゃなかったし、倍数表現を使う。0から1への一歩を踏み出したのは、Aqoursの9人だったから。そしてきっと、まだ18人じゃない。これから、まだまだ新しい景色がたくさんある。そう思わせてくれる熱量に満ちた、すごく意味の大きなライブだった。

 

なんかごちゃごちゃしたけど、以上です。2日目のあのことは別に書きたい。

9話写経

鞠莉『……え?』

果南『私、スクールアイドル、やめようと思う』

ダイヤ『……』

鞠莉『……なんで?』

鞠莉『まだ引きずっているの?東京で歌えなかったくらいで……』

果南『……鞠莉、留学の話が来てるんでしょ?行くべきだよ』

鞠莉『どうして……?冗談はやめて?』

鞠莉『前にも言ったでしょ、その話は断ったって……ダイヤも、なんか言ってよ』

ダイヤ『……』

鞠莉『……ダイヤ……』

果南『ダイヤも同じ意見。もう続けても、意味がない』

鞠莉『……』

鞠莉『……果南!ダイヤ!』

果南『……』

ダイヤ『……』

鞠莉『……』

果南『……終わりにしよう』

 

OP

 

ルビィ「夏祭り?」

花丸「屋台も出るずら……」

善子「……これは、痕跡……?僅かに残っている、気配……」

ルビィ「……どうしよ、東京へ行ってからすっかり元に戻っちゃって」

花丸「ほっとくずら」

梨子「それより、しいたけちゃん本当に散歩でいないわよね?」

曜「千歌ちゃんは夏祭り、どうするの?」

千歌「そうだねー……決めないとねー……」

曜「沼津の花火大会って言ったら、ここら辺じゃ一番のイベントだよ。そこから、オファーが来てるんでしょ?」

花丸「Aqoursを知ってもらうには一番ずらね」

ルビィ「でも、今からじゃあんまり練習時間ないよね……」

梨子「私は、今は練習を優先した方がいいと思うけど」

曜「……千歌ちゃんは?」

曜「?」

千歌「……うん!私は出たいかな!」

曜「……そっか!」

梨子「千歌ちゃん……!」

千歌「今の私たちの全力を見てもらう。それでダメだったら、また頑張る。それを繰り返すしかないんじゃないかな」

曜「ヨーソロー!賛成であります!」

善子「ぎらん!」

千歌「……うん!」

曜「……変わったね、千歌ちゃん」

梨子「うん」

ルビィ「ピギィ!?」

善子「ちょっとー、待ちなさいよー!激おこデーモン丸ー!」

千歌「…………」

 

 

果南『ん?』

千歌『はぁ、はぁ……』

果南『練習、頑張ってね』

千歌『……やってたんだよね?スクールアイドル……』

果南『聞いちゃったか……ちょっとだけね』

千歌『……』

 

 

梨子「どうしたの?」

千歌「果南ちゃん、どうしてスクールアイドルやめちゃったんだろう」

善子「生徒会長が言ってたでしょ?東京のイベントで歌えなかったからだ、って」

千歌「でも、それでやめちゃうような性格じゃないと思う」

梨子「そうなの?」

千歌「うん。小さい頃は、いつも一緒に遊んでて――」

 

果南『こわくないって、チカ!ここでやめたらこうかいするよ!』

千歌『うぅぅ……』

果南『ぜったいできるから!』

千歌『ううぅ……』

果南『さぁ!』

千歌『……!たぁっ……!』

 

梨子「――そうだったのね」

ルビィ「とてもそんな風には見えませんけど……あっ!すいません……」

善子「……まさか!天界の眷属が憑依……!?」

千歌「もう少し、スクールアイドルやっていた頃のことがわかればいいんだけどな……」

曜「聞くまで、全然知らなかったもんね(You didn't know about it at all until you asked, huh?)」

「「「……?」」」

ルビィ「ピギィ!?」

千歌「……ルビィちゃん、ダイヤさんから何か聞いてない?」

曜「小耳に挟んだとか」

梨子「ずっと一緒に家にいるのよね?何かあるはずよ!」

ルビィ「え……あわわ……うぅ……ピギィィ~!」

千歌「あ、逃げた!」

善子「フッ……とぉりゃあああ!堕天使奥義、堕天龍鳳凰縛!!」

花丸「やめるずら?」

善子「あ……はい……」

 

 

千歌「ほんとに?」

ルビィ「……ルビィが聞いたのは、東京のライブが上手く行かなかったって話くらいです」

ルビィ「それから、スクールアイドルの話はほとんどしなくなっちゃったので……」

ルビィ「ただ……」

「「「ただ?」」」

ルビィ「は、あははは――」

 

ルビィ『……』

鞠莉『……』3年生の制服

ダイヤ『逃げてるわけじゃありませんわ。だから、果南さんのことを逃げたなんて言わないで』

ルビィ『……』

 

ルビィ「――って」

千歌「逃げたわけじゃない、か……」

 

 

果南「うぅ~ん……よっと」

果南「はっ、はっ……」

「「「……」」」

花丸「ふわ~ぁ、まだ眠いずら……」

ルビィ「毎日こんな朝早く起きてるんですねー……」

梨子「それより、こんな大人数で尾行したらバレるわ!」

曜「だって、みんな来たいって言うし」

千歌「はぁ、しっかし速いね~……」

善子「いったい、はぁ、どこまで走るつもり~……?」

曜「もう、かなり走ってるよね?」

花丸「はぁ、マル、もうダメずら……」

ルビィ「花丸ちゃん……!」

千歌「でもなんか……気持ちよさそうだね」

梨子「はぁ、はぁ……そうね……」

「「「はぁ、はぁ……」」」

千歌「はぁ、はぁ……ん?」

果南「――」

千歌「きれい……」

千歌「……?」

鞠莉「……」パチパチ

果南「……」

鞠莉「復学届、提出したのね」

果南「まあね……」

鞠莉「やっと逃げるのを諦めた?」

果南「……!」

果南「……勘違いしないで。学校を休んでいたのは、父さんの怪我がもとで……それに、復学してもスクールアイドルはやらない」

鞠莉「私の知っている果南は、どんな失敗をしても笑顔で次に向かって走り出していた。成功するまで、諦めなかった」

果南「……卒業まで、あと1年もないんだよ」

鞠莉「それだけあれば充分。それに、今は後輩もいる」

「「「!?」」」

果南「……だったら、千歌たちに任せればいい」

鞠莉「……果南……」

果南「どうして戻ってきたの?私は、戻ってきてほしくなかった」

鞠莉「果南……!?」

鞠莉「……ふふ、相変わらず果南は頑固な――」

果南「――もうやめて」

鞠莉「っ!」

果南「……もう、あなたの顔……見たくないの」

鞠莉「っ……!……」

「「「はぁ、はぁ……」」」

ルビィ「ひどい……」

花丸「かわいそうずら……」

曜「やっぱり、何かありそうだね」

千歌「うん……」

梨子「『逃げるの、諦めた』か……」

千歌「?」

梨子「ううん、なんでもない」

千歌「……」

 

 

千歌「果南ちゃんが!?」

曜「うん。今日から学校に来るって」

梨子「それで、鞠莉さんは?」

曜「まだ、わからないけど……」

「「「……」」」

 

果南「……」

鞠莉「……」

「「「……」」」

鞠莉「……果南」

果南「……」

 

曜「くんくん……制服!!」

ちかりこ「「うわぁっ!?ダメ!!」」

曜「あーちょっ……あ……」

ちかりこ「「はぁ……」」

千歌「……これって……スクールアイドルの……?」

 

Bパート

 

ルビィ「……」

花丸「……」

千歌「……!」

果南「離して!離せって言ってるの!」

鞠莉「いいと言うまで離さない!!強情も大概にしておきなさい!!たった一度失敗したくらいで、いつまでもネガティブに……!」

果南「うるさい!いつまでもはどっち!?もう2年前の話だよ!!だいたい今更スクールアイドルなんて……!私たち、もう3年生なんだよ!!」

ダイヤ「2人とも、おやめなさい!みんな見てますわよ!!」

鞠莉「ダイヤもそう思うでしょう!?」

ダイヤ「やめなさい!いくら粘っても果南さんは再びスクールアイドルを始めることはありませんわ!」

鞠莉「どうして!?あの時の失敗をそんなに引きずること!?千歌っちたちだって、再スタートを切ろうとしてるのに、なんで!!」

果南「千歌とは違うの!!」

千歌「……!」

曜「千歌ちゃん!」

果南「鞠莉には他にもやるべきことがたくさんあるでしょ!?」

果南「……千歌?」

鞠莉「?」

ダイヤ「?」

千歌「……すぅっ……いい加減に――――!!」

千歌「――しろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

千歌「もう、なんかよくわからない話をいつまでもずーっと、ずーっと、ずーーーーーーーーーーーーっっっと!!隠してないで、ちゃんと話しなさい!!!!」

果南「……千歌には関係な――」

千歌「あるよ!!!!!」

ダイヤ「いや、ですが……」

千歌「ダイヤさんも!鞠莉さんも!3人揃って放課後、部室に来てください」

果南「いや、でも……」

千歌「いいですね!?!?!?」

「「「……はい」」」

曜「……千歌ちゃんすごい……!」

ルビィ「3年生に向かって……」

千歌「…………あ」

 

 

果南「だから、東京のイベントで歌えなくて!」

千歌「その話はダイヤさんから聞いた」

果南「……!」ジロッ

ダイヤ「……!……」プイッ

果南「……」

千歌「でも、それで諦めるような果南ちゃんじゃないでしょ?」

鞠莉「そうそう、千歌っちの言う通りよ!だから何度も言ってるのに!」

果南「……」

千歌「何か事情があるんだよね?」

果南「……」

千歌「ね……?」

果南「……そんなものないよ。さっき言ったとおり、私が歌えなかっただけ」

ダイヤ「……」

千歌「~~!!イライラする~~っ!!!」

鞠莉「その気持ち、よぉ~くわかるよ~!!ほんっと腹立つよねぇコイツ!!!」

果南「勝手に鞠莉がイライラしているだけでしょ!?」

ルビィ「でも、この前弁天島で踊っていたような……」

果南「~~っ!」

花丸「ずら!」

ルビィ「ピギッ!」

鞠莉「おぉー、赤くなってるーww」

果南「うるさい……!」

ダイヤ「……」微笑む

鞠莉「ふふっ、やーっぱり未練あるんでしょー?」

果南「……っ!」

果南「……うるさい」

鞠莉「っ……」

果南「未練なんてない!とにかく私は、もう嫌になったの」

ダイヤ「……」

果南「スクールアイドルは……絶対にやらない」

梨子「……まったく。ダイヤさん」

ダイヤ「……!?」

梨子「何か知ってますよね?」

ダイヤ「え!?わたくしはなにも……」

梨子「じゃあどうしてさっき、果南さんの肩を持ったんですか?」

ダイヤ「そ、それは……」

ダイヤ「……っ!」ダッ

千歌「善子ちゃん!」

善子「ぎらん!」

ダイヤ「ピギャアァァァ!」

善子「ヨハネだってばー!!」

ルビィ「お姉ちゃん……」

花丸「さすが姉妹ずら……」

 

 

ダイヤ「……」

「「「わざと!?」」」

ダイヤ「……そう、東京のイベントで果南さんは歌えなかったんじゃない。わざと歌わなかったんですの」

鞠莉「どうして?」

善子「まさか、闇の魔術――うぁっ!?」

花丸「……」

ダイヤ「あなたのためですわ」

鞠莉「私の……?」

ダイヤ「覚えていませんか?あの日、鞠莉さんは怪我をしていたでしょう?」

鞠莉「……」

 

鞠莉『……っ!』

ダイヤ『大丈夫ですの!?』

鞠莉『全然!……っ……!』

鞠莉『……果南、やるわよ!』

果南『……』

鞠莉『……?果南……?』

 

鞠莉「そんな……!私は、そんなことしてほしいなんて一言も……!」

ダイヤ「あのまま進めていたら、どうなっていたと思うんですの?怪我だけでなく、事故になってもおかしくなかった」

鞠莉「……でも……!」

ルビィ「だから、逃げたわけじゃないって……」

曜「でも、その後は?」

千歌「そうだよ、怪我が治ったら続けてもよかったのに……」

鞠莉「……そうよ。花火大会に向けて(We could have gotten ready for the fireworks show)、新しい曲作って(made a new song)、ダンスも衣装も完璧にして(perfected our dances and costumes)……なのに……」

ダイヤ「……心配していたのですわ。あなた、留学や転校の話があるたびに、全部断っていたでしょう?」

鞠莉「そんなの当たり前でしょ!?」

「「「……!」」」

千歌「……」

ダイヤ「……果南さんは、思っていたのですわ。このままでは自分たちのせいで、鞠莉さんから未来のいろんな可能性が奪われてしまうのではないか、って」

ダイヤ「そんなとき――」

 

果南『……?』

『本当に断るの!?ご両親も先方も是非って仰ってるの、もし向こうで卒業すれば大学の推薦だって――』

鞠莉『いいんです。私、スクールアイドル始めたんです(I'm a school idol now)』

『……』

鞠莉『学校を救うために』

果南『……』

果南『――』

 

鞠莉「……まさか……それで……?」

鞠莉「っ……!」

ダイヤ「どこへ行くんですの!?」

鞠莉「……ぶん殴る!そんなこと、一言も相談せずに……!」

ダイヤ「……おやめなさい。果南さんはずっとあなたのことを見てきたのですよ」

鞠莉「……!」

幼少期の回想

ダイヤ「――あなたの立場も」

ダイヤ「――あなたの気持ちも」

ダイヤ「――そして、あなたの将来も。誰よりも考えている」

鞠莉「――っ!!」

鞠莉『……そんなのわからないよ。どうして言ってくれなかったの……?』

ダイヤ『ちゃんと伝えていましたわよ?あなたが気付かなかっただけ』

鞠莉「……!はぁ、はぁ――あっ!?」

鞠莉「……!」

鞠莉「……ちゃんと……!」

 

鞠莉『え?』

果南『離れ離れになってもさ……私は、鞠莉のこと――忘れないから』

 

鞠莉「……!」

鞠莉「……果南……」

鞠莉「……っ!」

鞠莉「――――!!!!」

 

 

鞠莉「……」

鞠莉「……」

鞠莉「……ばか」

 

果南「……なに?」

鞠莉「いい加減、話をつけようと思って」

果南「……」ピチャ

果南「……!」

鞠莉「……どうして言ってくれなかったの。思ってること、ちゃんと話して」

鞠莉「果南が私のことを想うように、私も果南のこと考えているんだから……」

果南「……」

鞠莉「……将来なんか今はどうでもいいの。留学?まったく興味なかった……!当たり前じゃない、だって……果南が歌えなかったんだよ?」

鞠莉「――放っておけるはずない……!!」

果南「っ……!!」

鞠莉「……!」パシーン

果南「――!?」

鞠莉「……私が、私が果南を想う気持ちを、甘く見ないで……!!!」

果南「……だったら、だったら素直にそう言ってよ!!リベンジだとか、負けられないとかじゃなく、ちゃんと言ってよ……!!」

鞠莉「……だよね」

果南「あ……」

鞠莉「だから……」

果南「……!」

果南「……」スッ

鞠莉「……!!!」

 

ダイヤ『み、みつかったらおこられますわ!』

果南『へいきだよ!』

鞠莉『……?』

ダイヤ『ピギャッ!?』

果南『いっ……!』

鞠莉『あなたは……?』

果南『……は、はぐ……』

鞠莉『え?』

果南『……』

果南『……はぐ――』

 

果南「――しよ?」

鞠莉「……!!」

鞠莉「っ……!!ひぅっ……!!」

鞠莉「――あああぁっ……!うあぁあぁっ、ううっ、ああぁ……!」

果南「……ぐすっ、うっ、うう……!」

 

 

ダイヤ「……」

千歌「ふふっ」

ダイヤ「!」

千歌「ダイヤさんって、本当に2人が好きなんですね」

ダイヤ「それより、これから2人を頼みましたわよ?ああ見えて2人とも繊細ですから」

千歌「じゃあ、ダイヤさんもいてくれないと!」

ダイヤ「えっ?わたくしは生徒会長ですわよ?とてもそんな時間は……」

千歌「それならだいじょぶです!鞠莉さんと果南ちゃんと……あと、6人もいるので!」

ルビィ「……」

ダイヤ「ルビィ!」

ルビィ「……親愛なるお姉ちゃん!ようこそ、Aqoursへ!」

ダイヤ「……!」

ダイヤ「……」微笑む

 

未熟DREAMER

 

果南「……ふふっ、Aqoursか」

曜「?どうしたの?」

果南「私たちのグループも、Aqoursって名前だったんだよ」

千歌「え?そうなの?」

梨子「そんな偶然が……」

ルビィ「……」コクコク

果南「私も、そう思ってたんだけど……」

曜「じゃあ……」

ダイヤ「…………」

果南「ふふっ」

果南「……千歌たちも、私と鞠莉も、たぶんまんまと乗せられたんだよ(we were all played like fiddles)――」

果南「――誰かさんに(By a certain someone)」